
「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。
気候変動と紛争に関するグローバル・アウトルック
居住可能性とリレーショナル・セキュリティ
ジョン・キャンベル/キャロル・ファルボトコ | 2023年02月20日
安全保障という概念は、気候変動の影響と適応に関する研究および政策策定において重要な役割を果たしてきた。食料や水の安全保障、生計の安全保障、環境安全保障、健康の安全保障、人間の安全保障、気候変動の影響とそれに対する適応策に起因する紛争を背景とする国家的・国際的安全保障など、安全保障のさまざまな側面が求められている。これら全てが本質的に現象としての(具体的、物理的)性質を持っており、気候変動は、生活とウェルビーイングの物質的な必需品を極めて深刻に脅かす恐れがある。
気候変動はオーストラリアの国家安全保障にとって脅威か?
トビアス・イデ | 2023年02月16日
気候変動活動家から、新しいティール政治運動、そして著名な防衛専門家まで、より多くのオーストラリア人たちが、気候変動がもたらす安全保障上の影響について懸念を表明するようになっている。同国が長い海岸線を有し、山火事やサイクロン、干ばつ、そして最近ではオーストラリア史上最悪の洪水が頻繁に発生していることを考えると、このことは驚くには当たらないかもしれない。
環礁の未来―居住可能性を定義する
キャロル・ファルボトコ/ジョン・キャンベル | 2023年02月10日
海面上昇に伴い環礁が居住に適さなくなるリスクはよく知られた問題であるが、環礁に住む人々の集団移住は避けられないと単純化され、存亡の危機として語られることが多い。
言葉の消滅: 海面上昇がもたらす「壊滅的な」言語喪失への懸念
カレン・マクベイ | 2023年02月07日
気候危機は、現存する全ての言語の半数にとって「棺に打たれる最後の釘」になる恐れがある。なぜなら沿岸コミュニティーが移住を余儀なくされているからだと、言語学者らは言う。
COP27におけるインド: 中心的役割を果たしたか?
ロバート・ミゾ | 2022年12月07日
気候変動に関する国際交渉においてインドが重要なアクターであることは、近頃シャルム・エル・シェイクで開催された条約締約国会議(COP)27で如実に示された。2015年のパリ協定で約束したことを達成するため、締約国間の新たな連帯を追求するサミットで、インドは国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国としてきっぱりと主張しつつも、協調的な姿勢を見せた。
太平洋の一国がメタバースに自らをアップロードする
ニック・ケリー/マーカス・フォス | 2022年11月21日
それは絶望的な計画だが、隠されたメッセージがある。太平洋の国ツバルは海面上昇という存亡の危機に対応するため、メタバースに自国バージョンを作成することを計画している。ツバルのサイモン・コフェ法務・通信・外務大臣は、COP27で各国首脳に向けて戦慄的なデジタル演説をして、この発表を行った。
「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。