
「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。
気候変動と紛争に関するグローバル・アウトルック
太平洋諸国、COP26できっぱりと主張
フォルカー・ベーゲ | 2021年12月04日
COP26に出席するため2021年11月にグラスゴーまでたどり着くことができた太平洋諸島民は、ごくわずかだった。会議出席者約3万人のうち、太平洋諸島国家(PICs)からの出席者は140人程度のみである。コロナ禍による制約のため、政府派遣団も市民社会の代表者も、これまでのCOPと比べると大幅に少なくなった。
キリバスの人々に迫る海 ― オーストラリアへの移住は実現するか?
アカ・リモン/アノテ・トン | 2021年11月30日
私たちの環礁国は海抜2メートルしかなく、水は私たちに迫りつつある。グラスゴーで開かれた気候会議COP26の進展と気運にもかかわらず、いまだに気候変動による最悪の事態を回避するために十分なスピードで行動していない。
太平洋の市民社会が気候関連の移住に関する地域協議会行う
サビラ・コエーリョ/クリストファー・イー | 2021年10月12日
2021年6月、太平洋気候変動移住と人間の安全保障(Pacific Climate Change Migration and Human Security: PCCMHS)プログラムは、気候関連の移住に関する地域市民社会協議会を開催した。このオンライン協議会は、国際移住機関(IOM)が計画したもので、太平洋全域の市民社会の代表者が気候変動に関連した移住、立ち退き、計画移転が人間の安全保障にもたらす影響を検討し、コミュニティーに及ぼす影響について経験を共有し、地域に根差した解決策の策定に向けて話し合う機会を提供した。
オーストラリア政府の場当たり的気候政策に思わぬところから批判
フォルカー・ベーゲ | 2021年10月05日
現在のオーストラリア政府は、気候政策において他の先進国に大きく後れを取っている。政府の関与と努力が不足しているとして、国内外、とりわけ太平洋地域の近隣諸国から批判が出ている。太平洋島嶼国(PICs)は、特に気候変動の影響にさらされ、これに対して脆弱であり、気候変動に関する国際的な外交イニシアチブの最前線に立っている。これらの国の地域協力機構である太平洋諸島フォーラム(オーストラリアとニュージーランドも加盟)は、2018年の地域安全保障に関するボエ宣言において、気候変動は「太平洋諸国の人々の生計、安全保障、福祉を脅かす最大の単独要因」であると断言している。オーストラリアは再三にわたり、お粗末な気候政策に対して他のフォーラム加盟国から圧力をかけられている。
太平洋における気候変動、アイデンティティー、主権
フォルカー・ベーゲ | 2021年08月02日
近頃、「気候変動と太平洋諸国の主権」に関するオンライン会議が開催され、太平洋環礁国に重点を置いてアイデンティティーと主権の問題が議論された。環礁国であるツバル、キリバス、マーシャル諸島から、政治家、学識者、市民社会の代表者が出席し、彼らの経験、見解、政治的取り組みについて講演した。フィジーとオーストラリアからも、法律や政策の専門家が出席した。
コロナ禍を契機とする都市部から地方への逆移住:ツバルの事例
キャロル・ファルボトコ/タウキエイ・キタラ | 2021年04月13日
コロナ禍の間、太平洋諸島では移住パターンに逆転が見られた。都市の有給雇用が減少するなか一部の地方への移住が増加し、多くの場合は国の政府がそれを奨励した。当初の地方移住の後に都市部に戻る移住者もいたものの、コロナ禍の間に生じたこの都市部から地方への移住は、たとえ一時的現象だとしても、太平洋諸島の人々の間では地方との文化的・血縁的な結びつきというものが、特に外的ショックにさらされた場合にレジリエンスを維持するのに、いかに助けとなるかを理解するうえで参考となる。
「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。