気候変動と紛争に関するグローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

気候変動と紛争に関するグローバル・アウトルック

コロナ禍からのグリーン・リカバリーと日本における炭素中立社会の実現に向けた課題

松下和夫  |  2020年10月31日

コロナ禍は、世界の情勢を一変させた。副次的効果の一つは、世界的に経済活動と人の移動が制約された結果、大気汚染と温室効果ガス排出量が減少したことである。これを受け、復興の過程でより持続可能かつ健全な社会を創出しようという声が高まっている。いわゆる、「グリーン・リカバリー」(緑の復興)である。 現在、各国政府は、コロナ危機からの復興を支えるため、所得補償や「休業補償」などの緊急対応策の実施と並行して、中長期的な経済対策を実施している。これらの対策の規模は過去最大級であり、その内容は、今後の各国の社会構造に大きな影響を及ぼすことから、きわめて重要である。

気候変動と主権

タウキエイ・キタラ  |  2020年10月16日

2020年10月19日、太平洋諸島出身の鋭い知性を持つ有識者たちがフォーラムに登壇し、母国での生活や気候変動の影響と戦う日々について、幅広い豊かな経験を人々に伝える。スピーカーのうち2名は元国家首脳で、元ツバル首相のエネレ・ソポアガ(Enele Sopoaga)閣下と元キリバス大統領のアノテ・トン(Anote Tong)閣下である。太平洋諸島フォーラム事務局気候変動アドバイザーのエクスレー・タロイブリ(Exsley Taloiburi)氏、気候変動活動家であり詩人であるマーシャル諸島出身のキャシー・ジェトニル=キジナー(Kathy Jetnil-Kijiner)氏も討論に参加する。10月19日のオンラインフォーラムは、気候変動と主権を議題とするオンラインフォーラム・シリーズの第1回となる。狙いは、島ならではの知識と経験に脚光を当てることである。それは、太平洋諸島における主権のあり方がなぜ独特であるか、また、長年受け継がれてきたヴェストファーレン的主権概念(我々は、これを脱植民地化する必要がある概念とみなし始めている)となぜ異なるのかを理解するために不可欠である。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。