気候変動と紛争に関するグローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

気候変動と紛争に関するグローバル・アウトルック

中国における市民社会と気候行動、そして国家

ロバート・ミゾ  |  2022年06月24日

市民社会は、気候変動との闘いにおける主要な行為主体である。彼らは、各国機関や政府間プロセスが停滞している場合には活を入れ、これらの公的主体に気候変動対策の責任を取らせる力を秘めている。中華人民共和国は、あらゆる点で共産主義独裁国家であるにもかかわらず、気候変動に取り組む団体などの環境市民団体に対し、大幅な、ただし明確に規定されたスペースを認めている。

先住民を脅かす気候変動――彼らの視点を取り入れよ

カリン・ゲルハルト/ジョン・デイ/ラリッサ・ヘイル/スコット・F・ヘロン  |  2022年06月13日

オーストラリアの先住民は気候変動による多くの脅威に直面しており、それは食料供給から健康問題にまで及ぶ。例えば、海面上昇によりすでにトレス海峡の島々では浸水が発生しており、壊滅的な被害が生じている。

労働移住と気候正義?

キャロル・ファルボトコ、タウキエイ・キタラ、オリビア・ダン  |  2022年05月07日

移住は、気候変動に対する適応策となりうるものである。適応策としての移住には、気候に脆弱な場所からの恒久的移住だけでなく、一時的移住も含まれる。一時的移住者が、資金、新たな知識、改良された技術などの資源を持ち帰る、または送り返すことにより、気候に脆弱な地域のコミュニティーにレジリエンスを構築することができる。

IPCC緩和報告書2022: 開発途上国にとって意味するもの

ロバート・ミゾ  |  2022年05月01日

気候変動が全ての国による協調的な取り組みを必要としていることは間違いない。しかし、この問題への対処能力と有責性の両方において、各国の間に大きな相違があるという事実に変わりはない。開発途上国や後発開発途上国は、気候変動により不均衡に大きな影響を受ける傾向がある。

ロシアのウクライナ侵攻による環境・気候被害への深刻な懸念

松下和夫  |  2022年04月22日

戦争は最悪の環境破壊であり、人権破壊である。ロシアによるウクライナ侵攻はまさに人道的危機に他ならない。また、戦争による環境破壊は甚大で、その影響は長期に及ぶと懸念される。たとえ戦争が終結しても、環境破壊と汚染は復興を困難なものにするだろう。

最新のIPCC報告書: 太平洋島嶼国に朗報なし

フォルカー・ベーゲ  |  2022年04月01日

気候変動の影響・適応・脆弱性に関する最新のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告書(2022年2月28日発表)では、気候変動の影響がこれまで考えられていたよりも深刻で、今決定的な行動を取らなければ、状況は予想以上に急速に世界中で悪化していくことが示されている。そして、低地の島嶼国や島々は最も深刻な影響を受け、真に存続の脅威に直面することが強調されている。これは、特に太平洋島嶼国(PICs)にとって悪い知らせである。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。