「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。
気候変動と紛争に関するグローバル・アウトルック
IPCC緩和報告書2022: 開発途上国にとって意味するもの
ロバート・ミゾ | 2022年05月01日
気候変動が全ての国による協調的な取り組みを必要としていることは間違いない。しかし、この問題への対処能力と有責性の両方において、各国の間に大きな相違があるという事実に変わりはない。開発途上国や後発開発途上国は、気候変動により不均衡に大きな影響を受ける傾向がある。
ロシアのウクライナ侵攻による環境・気候被害への深刻な懸念
松下和夫 | 2022年04月22日
戦争は最悪の環境破壊であり、人権破壊である。ロシアによるウクライナ侵攻はまさに人道的危機に他ならない。また、戦争による環境破壊は甚大で、その影響は長期に及ぶと懸念される。たとえ戦争が終結しても、環境破壊と汚染は復興を困難なものにするだろう。
最新のIPCC報告書: 太平洋島嶼国に朗報なし
フォルカー・ベーゲ | 2022年04月01日
気候変動の影響・適応・脆弱性に関する最新のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告書(2022年2月28日発表)では、気候変動の影響がこれまで考えられていたよりも深刻で、今決定的な行動を取らなければ、状況は予想以上に急速に世界中で悪化していくことが示されている。そして、低地の島嶼国や島々は最も深刻な影響を受け、真に存続の脅威に直面することが強調されている。これは、特に太平洋島嶼国(PICs)にとって悪い知らせである。
気候変動とインド・マニプール州の部族集落
ロバート・ミゾ | 2022年03月21日
気候変動の影響は広範囲であり、自然と密接に調和して伝統的な生活を送る部族集落にもそれは及ぶ。彼らにとって、気候変動は人権と平等の問題である。なぜならそれは、土地の劣化、農業の変化、降雨パターンの変化、害虫や病気の発生率の増加などによって、彼らの伝統的な生活様式や生産方法を破壊するからである。
気候変動と平和・紛争について、われわれは何を知っているのか?
トビアス・イデ | 2022年03月08日
気候変動が平和と紛争に及ぼす影響は、政策立案者や一般の人々の大きな関心事となっている。気候変動と安全保障に関する国連安全保障理事会の議論から、干ばつがシリア内戦に及ぼす影響を描いたコミックまで、この問題への関心は近年非常に高まっている。新型コロナウイルス感染症のような困難な課題がわれわれに何かを教えてくれるとしたら、それはグローバルな問題に対処するためには科学が重要だということである。では気候変動と平和・紛争に関する科学的根拠は何だろうか?
太平洋の小環礁島の大潮渦にIPCCが大きな波紋投げかける
フォルカー・ベーゲ | 2022年03月05日
2022年2月25日、パプアニューギニア(PNG)のブーゲンビル自治州政府は、同州の環礁行政区に非常事態を宣言した。2月28日には気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、最新の気候科学報告書を発表した。ブーゲンビルの非常事態は世界からはほとんど注目されなかったが、IPCCの報告書は幅広い国際的な注目を集めた(ウクライナの戦争の陰に隠れたため、ふさわしい注目とは言えなかったが)。この二つの事柄は密接に関連している。非常事態は、IPCC報告書が科学的に取り組んでいることの現実的表現であり、IPCC報告書はブーゲンビル環礁で起こっていることの説明になっているのである。
「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。