グローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

コロナ禍からのグリーン・リカバリーと日本における炭素中立社会の実現に向けた課題

松下 和夫  |  2020年10月31日

コロナ禍は、世界の情勢を一変させた。副次的効果の一つは、世界的に経済活動と人の移動が制約された結果、大気汚染と温室効果ガス排出量が減少したことである。これを受け、復興の過程でより持続可能かつ健全な社会を創出しようという声が高まっている。いわゆる、「グリーン・リカバリー」(緑の復興)である。 現在、各国政府は、コロナ危機からの復興を支えるため、所得補償や「休業補償」などの緊急対応策の実施と並行して、中長期的な経済対策を実施している。これらの対策の規模は過去最大級であり、その内容は、今後の各国の社会構造に大きな影響を及ぼすことから、きわめて重要である。

米中間の力の移行、冷戦か、実戦か?

ラメッシュ・タクール  |  2020年10月21日

現在の米中対立を第二次冷戦と呼ぶことは、どれほど的確だろうか?世界が実戦に巻き込まれる可能性はあり得るのか?それは、どちらも勝者たりえない、全員が敗北者となる戦争である。 2018年10月にハドソン研究所で行ったアジェンダをリセットする演説で、マイク・ペンス米副大統領は、中国による多くの略奪的行為や攻撃的行動を数え上げた。米国を西太平洋から追い出し、同盟国を助けに来させないようにする決意で、人工島に軍事基地の列島を建設し、対艦・対空ミサイルを配備することにより、「北京は、陸海空および宇宙における米国の軍事的優位性を侵食する能力を、重点的に構築してきた」とペンスは述べた。しかし、米国は「ひるむことなく」中国の不正行為に打ち勝つと結論付けた。

次期米国大統領が北朝鮮に対して取りうる実際的アプローチ

ジョセフ・ユン/フランク・オウム  |  2020年10月16日

3年にわたり北朝鮮に対して一貫性のないアプローチを続けた揚げ句、トランプ政権は、核の脅威の低減や朝鮮半島における平和と安全保障の強化をほとんど進展させなかった。現在、北朝鮮は相変わらずウランを濃縮し、ミサイル攻撃力を高め、2018年に講じられた南北朝鮮融和策を覆している。次期米国大統領は、このような憂慮すべき状況に対処しなければならない。

アジアの核の鎖における信頼醸成措置とリスク低減措置

ラメッシュ・タクール  |  2020年10月16日

冷戦時代の兵器統制構造は、もはやその目的を満たすものではない。現代の地政学情勢において、核の二国間対立は核の鎖となった。現行の核兵器管理体制は、軍縮とは二国間の妥協的取引によって成し遂げられるものであり、その両国の存続こそが安定した戦略的二大国体制に依存しているという概念に基づいて構築されている。しかし、ますます多極化する世界秩序において、そのような体制では他の核兵器保有国の選択を制御することも抑制することもできない。

気候変動と紛争

タウキエイ・キタラ  |  2020年10月16日

2020年10月19日、太平洋諸島出身の鋭い知性を持つ有識者たちがフォーラムに登壇し、母国での生活や気候変動の影響と戦う日々について、幅広い豊かな経験を人々に伝える。スピーカーのうち2名は元国家首脳で、元ツバル首相のエネレ・ソポアガ(Enele Sopoaga)閣下と元キリバス大統領のアノテ・トン(Anote Tong)閣下である。太平洋諸島フォーラム事務局気候変動アドバイザーのエクスレー・タロイブリ(Exsley Taloiburi)氏、気候変動活動家であり詩人であるマーシャル諸島出身のキャシー・ジェトニル=キジナー(Kathy Jetnil-Kijiner)氏も討論に参加する。10月19日のオンラインフォーラムは、気候変動と主権を議題とするオンラインフォーラム・シリーズの第1回となる。狙いは、島ならではの知識と経験に脚光を当てることである。それは、太平洋諸島における主権のあり方がなぜ独特であるか、また、長年受け継がれてきたヴェストファーレン的主権概念(我々は、これを脱植民地化する必要がある概念とみなし始めている)となぜ異なるのかを理解するために不可欠である。

核兵器禁止条約の軍縮プロセスに核保有国を取り込むために

トマス・E・シア博士  |  2020年10月16日

近いうち、おそらく年末までに、核兵器禁止条約(TPNW)の署名国84カ国(現時点)のうち50カ国が批准手続きを完了し、TPNWが発効するだろう。現在核兵器を保有する9カ国はいずれも条約への前向きな関心を示しておらず、核軍縮のプロセスに着手しようとする国際社会のあらゆる努力を、責任を問われることなく拒絶し続けている。TPNWが発効すれば、この条約は、9カ国の核保有国(中国、フランス、インド、イスラエル、北朝鮮、パキスタン、ロシア、英国、米国)を含む国際社会全体に対して、全面的な核兵器廃絶に向けた前進を奨励し、講じられたすべての措置を検証し、不正行為を検出し、平和と安定の進展を称賛するための法的枠組みを初めて既成事実として提示するものとなる。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。