グローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

戦争省: ジョージ・オーウェルは自分の正しさが裏付けられたと感じるだろう

ハルバート・ウルフ  |  2025年09月10日

ドナルド・トランプ大統領が米国の国防総省を「戦争省」に改称する決定を下したのは、ノーベル平和賞を受賞しようとする彼自身のキャンペーンのさなかであった。ホワイトハウスが呼ぶところの「平和の大統領」は、またしても多くの大統領令の一つに署名した。この最新の大統領令により、彼は正式に戦争省という呼称を定めたのである。

太平洋の気候共同戦線に深海鉱物資源めぐる分断の兆し

コライア・ライセレ、エイダン・クレイニー  |  2025年09月09日

太平洋島嶼国は近年、気候行動の旗手として世界的な信頼を得てきた。太平洋のリーダーたちは、海面上昇を存亡の脅威と見なしている。 しかし、この共同戦線が今、緊張下にある。一部の太平洋諸国が、物議をかもす新産業、深海鉱業に乗り出しているからだ。ナウル、クック諸島、キリバス、トンガは、新たな収入源に惹かれ、深海採掘の実現化に向けて最も先を進んでいる。しかし、フィジー、パラオ、バヌアツなどの国々は、公海における深海採掘の一時停止を求めている。

太平洋平和度指数は必要か?

アンナ・ナウパ  |  2025年09月05日

世界的に見て、平和度の平均レベルは0.36%の悪化を示している。地政学的緊張、紛争の増加、経済の不確実性の増大を背景に軍事化を強化する国が増えているためだ。 しかし、この統計には太平洋島嶼国の大部分が含まれていない。2025年の世界平和度指数(GPI)のランキングに含まれているのは、わずか3カ国である。163カ国のうちニュージーランドが3位、オーストラリアが18位、そしてパプアニューギニアが116位である。

米国、パレスチナ代表団の入国を拒否: 国連の普遍性にとって危険な先例

ジョーダン・ライアン  |  2025年09月04日

2025年8月、米国は、ニューヨークで開催される国連総会への出席を予定していたパレスチナ自治政府のマフムード・アッバース議長ほか約80人の自治政府およびパレスチナ解放機構(PLO)高官に対するビザの発給を拒否し、事実上彼らの入国を阻止した。

7月の国政選挙大敗にもかかわらず、石破政権の支持率はなぜ上がっているのか?

和田大樹  |  2025年08月26日

2025年7月20日に行われた参議院選挙で、石破茂首相率いる自由民主党(自民党)は、改選52議席に対して39議席を確保したが、前回の選挙より13議席減らして歴史的な大敗を喫した。一方、新興保守政党の参政党は大きく躍進して議席を1から14へと伸ばし、初の国政選挙に臨んだ日本保守党は2議席を獲得した。選挙後に国内の、特に若者の間で広がった見解は、自民党は既得権益層の代表という見方が強まっており、経済的不満と怒りを抱いた若者が新たな政治勢力に票を投じたというものだった。

AIドローンが変える核兵器の未来

エスラ・セリム  |  2025年08月25日

エスラ・セリムは、人工知能(AI)を搭載したドローン技術の急速な進展が、核兵器の運搬能力、精密な標的設定、そして抑止力を大幅に強化していると論じている。しかし、自律型ドローンシステムの拡散は、戦略的かつ倫理的に深刻な課題も生み出している。世界の安定を確保するためには、強固な国際的枠組みの構築が不可欠である。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。