気候変動と紛争に関するグローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

気候変動と紛争に関するグローバル・アウトルック

太平洋の気候共同戦線に深海鉱物資源めぐる分断の兆し

コライア・ライセレ、エイダン・クレイニー  |  2025年09月09日

太平洋島嶼国は近年、気候行動の旗手として世界的な信頼を得てきた。太平洋のリーダーたちは、海面上昇を存亡の脅威と見なしている。 しかし、この共同戦線が今、緊張下にある。一部の太平洋諸国が、物議をかもす新産業、深海鉱業に乗り出しているからだ。ナウル、クック諸島、キリバス、トンガは、新たな収入源に惹かれ、深海採掘の実現化に向けて最も先を進んでいる。しかし、フィジー、パラオ、バヌアツなどの国々は、公海における深海採掘の一時停止を求めている。

太平洋平和度指数は必要か?

アンナ・ナウパ  |  2025年09月05日

世界的に見て、平和度の平均レベルは0.36%の悪化を示している。地政学的緊張、紛争の増加、経済の不確実性の増大を背景に軍事化を強化する国が増えているためだ。 しかし、この統計には太平洋島嶼国の大部分が含まれていない。2025年の世界平和度指数(GPI)のランキングに含まれているのは、わずか3カ国である。163カ国のうちニュージーランドが3位、オーストラリアが18位、そしてパプアニューギニアが116位である。

国際司法裁判所が歴史的判断――気候変動は「あらゆる生命を危険にさらす」と認定、対策怠る国に警告発する

ジャクリーン・ピール  |  2025年07月31日

国際司法裁判所(ICJ)は、気候変動は「あらゆる生命を危険にさらす」ものであり、各国は気候変動対策を講じなければ国際法に基づいて責任を負わなければならないとの判断を下した。

ツバル国民の3人に1人が新設されたオーストラリア移住の「気候ビザ」に応募

ジェーン・マックアダム  |  2025年07月03日

ツバル国民の3人に1人が、新設されたオーストラリア移住の「気候ビザ」に応募している。最終的には全員が応募することになるかもしれない理由を解説する。

インダス川水利条約の停止:アジア太平洋地域の結束への警鐘?

シネイド・バリー、エマ・ウィテカー  |  2025年05月08日

インドは4月23日、インダス川水利条約(IWT)を停止した。この65年にわたる協定は、数十年にわたり敵対関係が続くインドとパキスタンにとっては希有な協力の象徴となっていた。

取り残されたアフガニスタン:なぜ自国だけで気候変動に対処できないのか

アセム・マヤール  |  2025年04月03日

「私たちには全ての国に対応する資金はない。援助は大幅に削減された。各国は鉱物などの自国の資源を活用して、気候変動に取り組むべきだ」。  私が最近参加した2つの会議において、西側の代表者が述べたこの発言は、国際的な気候資金をめぐるナラティブの変化を反映している。経済的制約に直面している先進国は、途上国が自国の天然資源、とりわけ鉱物資源を通じて気候変動対策の資金を調達すべきだと主張するようになっている。しかし、このアプローチはアフガニスタンのような脆弱国においては非現実的であり、統治能力、財務基盤、安全保障に関する課題がその実行をほぼ不可能にしている。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。