
「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。
金王朝:揺るぎなき支配力
ハルバート・ウルフ | 2022年01月19日
金正恩が2011年12月に北朝鮮の権力を握った時、多くの識者らが故金正日の息子で初代主席金日成の孫である、わずか28歳の政治未経験なこの人物が権力の座に長くとどまることは難しいだろうと予測した。共産主義の金王朝は間もなく終焉を迎えるだろうと見られていた。しかし、10年後の今日、独裁者は揺るぎない支配力を握っている。さて10年後の彼の経済や安全保障を巡る実績はどうなっているだろうか。
韓国のレジリエンス戦略に向けて
文正仁(ムン・ジョンイン) | 2022年01月17日
2022年はあらゆる面で韓国のレジリエンスが試される勝負の年となるかもしれない。われわれは、2022年を迎えた。昨年は新型コロナや他の問題で多大な困難に直面したが、韓国の国際的威信は1段階上がったというのが大方の見方である。
ブレア元英首相のナイト受勲が示す歴史の嘲笑
ラメッシュ・タクール | 2022年01月13日
銀行はかつて、マスクをした強盗を恐れていたが、いまやマスクをしない顧客を恐れている。歴史の皮肉である。しかし、歴史の嘲笑もあるのではないか? 1984年のノーベル平和賞を受賞したデズモンド・ツツ元大主教が、ケープタウンでボクシングデー(12月26日)に死去した。10年近く前、ヨハネスブルグでツツ元大主教はトニー・ブレア元英首相と同じ壇に上がることを拒否し、ブレアは戦争犯罪の罪を負ってハーグで被告席にいるべきだと述べた。
カザフスタン危機はプーチンに高くつく可能性
アミン・サイカル | 2022年01月11日
石油資源と鉱物資源が豊富なカザフスタンで、燃料価格の高騰をきっかけに全国規模で発生している市民騒乱は、元をたどれば、1990年にこの国がソ連からの独立を宣言して以来の根深い統治問題と構造改革を求める社会の要求がある。この混乱は、カザフスタンの権威主義的な体制だけでなく、ロシアにとっても深刻な課題となっている。それは、ロシアが「近い外国」あるいは安全保障および利益圏と見なしている国の安定を揺るがす可能性をはらんでいる。
プーチンとバイデン: 誰が先に目をそらすか?
ハルバート・ウルフ | 2022年01月02日
しきりに冷戦のレトリックを弄し軍事力を誇示した揚げ句、米国とロシアの大統領が会談し、ウクライナ問題について、また欧州の安全保障構造に関するより一般的な問題について話し合う。EUは直接的な影響を受けるが、取り残され思いを巡らすのみである。
シアルコートのリンチ事件は南アジアにとって何を意味するのか?
チュラニー・アタナヤケ、チラユ・タッカル | 2021年12月24日
2021年12月3日、南アジアのトップニュースはスリランカ人の工場長プリヤンタ・クマラの不幸なリンチ殺害事件一色となった。2010年から輸出管理者としてパキスタンで働いていたプリヤンタ・クマラは、宗教的な言葉が書かれたポスターを剥がしたために殴打され、殺害され、火をつけられた。暴徒は、クマラの行為を神への冒涜と見なしたのである。陰惨な事件は多くの人々の良心を揺さぶり、パキスタン国内では抗議の声が、スリランカでは正義を求める声が上がった。
「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。