グローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

気候変動対策――太平洋諸島フォーラムに必要なのは一つの大きな声

フォルカー・ベーゲ  |  2021年02月22日

2月3日、太平洋諸島フォーラム(PIF)加盟国のリーダーたちが(オンラインで)集まり、「特別リーダーズリトリート会合(Special Leaders’ Retreat)」を開催した。目的はこの地域連合の新事務局長を指名するためで、パプアニューギニアのメグ・テイラー事務局長が2期目3年間の任期を4月に終了するのを受けて開催された。新事務局長には、クック諸島のヘンリー・プナ元首相が指名された。無記名投票の結果、プナ氏が9票、次点のマーシャル諸島の外交官ジェラルド・ザッキオス氏が8票を獲得した。これは、トップの地位がメラネシア出身者からポリネシア出身者に引き継がれるということを意味する。

分極化したアジア太平洋において、民主主義はクラブではなく目標であるべき

ダン・スレーター  |  2021年02月18日

分極化が米国を分断している。ドナルド・トランプ前米国大統領のもとで、分極化は米国の民主主義をほとんどズタズタに引き裂いた。しかし、米国の内部が分極化しただけではない。太平洋の分極化にも直面している。中国との関係は、トランプ政権の数年間の後、国交正常化以来最悪の状態に達している。その間、トランプと習近平中国国家主席は揃って、強力な国家指導者としての個人崇拝を広めようとしていた。

核兵器禁止条約を推進するために

ティルマン・ラフ  |  2021年02月16日

核兵器禁止条約(TPNW)は、2021年1月22日に発効した。多国間核軍縮条約の交渉が行われたのは25年ぶり(包括的核実験禁止条約<CTBT>以来)であり、そのような条約が発効したのは49年ぶりである(核兵器などの大量破壊兵器を海底に設置することを禁止する海底条約以来)。

NATO同盟国よ、TPNWを退けるなかれ

トム・サウアー  |  2021年02月13日

2021年1月22日の核兵器禁止条約(TPNW)発効は、深い感慨と複雑な感情を生み出す。支持者たちは、グローバル・ゼロの山頂を目指す歩みが加速することを期待している。反対者たちは、核武装国が条約に署名するわけがないと繰り返している。しかし、核武装国が核兵器を禁止する気がないのなら、核不拡散条約(NPT)の規定に基づいて核兵器の削減を約束した彼らの言葉を、他の国々はまず信用しないだろう。それは、核不拡散・軍縮体制の「礎石」であるNPTにとって幸先の悪いことである。

国家主権の「責任」と核兵器禁止条約

ラメッシュ・タクール  |  2021年02月08日

1984年、ロナルド・レーガン大統領は、核の王様は服を着ていないと述べた。「われわれ2カ国[米国とソ連]が核兵器を保有することの唯一の価値は、それらが決して使われないようにすることだ。だとしたら、核兵器を完全に廃止したほうが良くはないだろうか?」と。まったくその通りである。核兵器禁止条約(TPNW)は、核兵器の倫理性、合法性、正当性における新たな規範となる解決点を提供することで、それを実現しようとしている。

ソーシャルメディアと「#ENDSARS」を駆使し、ナイジェリアの階層主義的長老支配の解体を目指す

メディナト・アブドゥラジーズ・マレファキス  |  2021年01月29日

2020年10月3日、ナイジェリア警察の特別強盗対策部隊(SARS)が被害者を攻撃する映像がソーシャルメディアで拡散し始めた。映像には、射殺された若い男性とレクサスのSUVで走り去るSARS隊員たちが映っていた。この事件は、人々の激しい怒りに火をつけた。ハッシュタグ#ENDSARSは最初の週末には約2800万件のツイートを集め、Twitterトレンドで世界1位となった。2020年10月8日から若者たちが街に出て抗議活動を行い、SARSの廃止を平和的に訴えた。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。