グローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

NATO同盟国よ、TPNWを退けるなかれ

トム・サウアー  |  2021年02月13日

2021年1月22日の核兵器禁止条約(TPNW)発効は、深い感慨と複雑な感情を生み出す。支持者たちは、グローバル・ゼロの山頂を目指す歩みが加速することを期待している。反対者たちは、核武装国が条約に署名するわけがないと繰り返している。しかし、核武装国が核兵器を禁止する気がないのなら、核不拡散条約(NPT)の規定に基づいて核兵器の削減を約束した彼らの言葉を、他の国々はまず信用しないだろう。それは、核不拡散・軍縮体制の「礎石」であるNPTにとって幸先の悪いことである。

国家主権の「責任」と核兵器禁止条約

ラメッシュ・タクール  |  2021年02月08日

1984年、ロナルド・レーガン大統領は、核の王様は服を着ていないと述べた。「われわれ2カ国[米国とソ連]が核兵器を保有することの唯一の価値は、それらが決して使われないようにすることだ。だとしたら、核兵器を完全に廃止したほうが良くはないだろうか?」と。まったくその通りである。核兵器禁止条約(TPNW)は、核兵器の倫理性、合法性、正当性における新たな規範となる解決点を提供することで、それを実現しようとしている。

ソーシャルメディアと「#ENDSARS」を駆使し、ナイジェリアの階層主義的長老支配の解体を目指す

メディナト・アブドゥラジーズ・マレファキス  |  2021年01月29日

2020年10月3日、ナイジェリア警察の特別強盗対策部隊(SARS)が被害者を攻撃する映像がソーシャルメディアで拡散し始めた。映像には、射殺された若い男性とレクサスのSUVで走り去るSARS隊員たちが映っていた。この事件は、人々の激しい怒りに火をつけた。ハッシュタグ#ENDSARSは最初の週末には約2800万件のツイートを集め、Twitterトレンドで世界1位となった。2020年10月8日から若者たちが街に出て抗議活動を行い、SARSの廃止を平和的に訴えた。

今、癒しを得るためには?

ポーラ・グリーン  |  2021年01月25日

バイデン大統領は「わが国の魂を癒そう」とたびたび訴える。リンカーンは、「国の傷を癒す」ことについて書いた。現在あらわになった壊れた国の姿は、これらの言葉に新たな意味をもたらす機会を示しているだろうか? われわれは、流血を止め、症状を診断し、根本原因を治療することができるだろうか?

攻撃を受ける「法の支配」

ハルバート・ウルフ  |  2021年01月23日

ワシントンの連邦議事堂襲撃は、制御不能な大統領がもたらした結果というだけではない。武力行使の合法的な国家独占は、米国では十分に認められてこなかった。

「このようなことは予測できなかったと言えたらいいが」と、議事堂襲撃事件の後、バイデン次期大統領は言った。「本当はそうではない。予測はできた」。さらにオバマ元大統領が、事件をまったくの驚きのように扱うのは自己欺瞞だと言い加えた。

Qアノンと大衆のデジタル過激化: 平和構築と米国人の反乱

リサ・シャーク  |  2021年01月21日

米国在住の右翼過激主義者たちは、ソーシャルメディアのプラットフォームを利用して偽情報を拡散し、新メンバーを集め、連邦議会議事堂襲撃を計画し、国内の憎悪と分断をいっそう煽った。1月6日の議事堂襲撃以前も、対テロおよび対反乱の専門家たちは、ソーシャルメディアを駆使した陰謀による米国人の「大衆過激化」を指摘していた。ロイターの世論調査によれば、米国の人口の13%が議事堂襲撃を支持していた。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。