グローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

今、癒しを得るためには?

ポーラ・グリーン  |  2021年01月25日

バイデン大統領は「わが国の魂を癒そう」とたびたび訴える。リンカーンは、「国の傷を癒す」ことについて書いた。現在あらわになった壊れた国の姿は、これらの言葉に新たな意味をもたらす機会を示しているだろうか? われわれは、流血を止め、症状を診断し、根本原因を治療することができるだろうか?

攻撃を受ける「法の支配」

ハルバート・ウルフ  |  2021年01月23日

ワシントンの連邦議事堂襲撃は、制御不能な大統領がもたらした結果というだけではない。武力行使の合法的な国家独占は、米国では十分に認められてこなかった。

「このようなことは予測できなかったと言えたらいいが」と、議事堂襲撃事件の後、バイデン次期大統領は言った。「本当はそうではない。予測はできた」。さらにオバマ元大統領が、事件をまったくの驚きのように扱うのは自己欺瞞だと言い加えた。

Qアノンと大衆のデジタル過激化: 平和構築と米国人の反乱

リサ・シャーク  |  2021年01月21日

米国在住の右翼過激主義者たちは、ソーシャルメディアのプラットフォームを利用して偽情報を拡散し、新メンバーを集め、連邦議会議事堂襲撃を計画し、国内の憎悪と分断をいっそう煽った。1月6日の議事堂襲撃以前も、対テロおよび対反乱の専門家たちは、ソーシャルメディアを駆使した陰謀による米国人の「大衆過激化」を指摘していた。ロイターの世論調査によれば、米国の人口の13%が議事堂襲撃を支持していた。

トランプのカオスが投げかけた唯一人の核発射権限というリスク

ラメッシュ・タクール  |  2021年01月19日

核兵器を批判する人々は、ずっと以前から二つのリスクを指摘してきた。第1は、核抑止の安定性は、全核保有国のすべてのフェイルセーフ機構がいつ何時も機能していることに依存しているということだ。それは、核による平和をいつまでも維持するにはあまりにも高いハードルである。第2は、世界の9核保有国において、理性的な意思決定者が政権を握る必要があるということである

核依存国はTPNW発効にいかに対応し得るか

アレクサンダー・クメント  |  2021年01月12日

1945年に核の時代が幕開けして以来、核兵器に対する各国の認識や戦略的立場には常に相違がある。2017年の核兵器禁止条約(TPNW)は、このような既存の分断を白日のもとにさらした。この条約は、核兵器の人道的影響やすべての人類にもたらす持続的リスクを、非核兵器国がますます重大視するようになった結果である。

タガが外れたリーダーたちと核兵器:今こそ行動を

タニヤ・オグルヴィ=ホワイト博士  |  2021年01月10日

私は、核兵器がもたらすリスクの研究に人生を費やしてきた。いつか核兵器保有国に、タガが外れた、そして核攻撃を開始する権限を持つリーダーが現れるのではないかとずっと心配だった。私にとっては常に、核兵器保有国のリーダーが理性的に行動するという前提は根本的に欠陥があり、危険なものだと思われた。かつて米国の国防長官を務めたロバート・マクナマラはこの問題を訴えて、「誤りを犯しがちな人類が核兵器をいつまでも持ち続ければ、国々の破滅をもたらす」と警告した。今日、私はこれまで以上にこの点を危惧している。そして、もっと多くの人が問題に目を向け、変化を強く求めることを願っている。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。