「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。
核兵器禁止: ドイツ、オランダ、ベルギーの役割は?
モーリッツ・クット、ヤン・ホーケマ、トム・サウアー | 2021年02月28日
1月22日、核兵器禁止条約が発効した。核禁止条約とも呼ばれるこの新たな条約は、締約国が核兵器を開発、製造、実験、備蓄することを禁止する。同様に、核兵器の使用、使用の威嚇も禁止する。同条約の締約国は54カ国で、さらに32カ国が条約に署名している。今後さらに多くの国が参加すると予想される。同条約は、地球に対する大きな脅威、すなわち、人類と環境に壊滅的な影響を及ぼす核兵器の戦争使用を法律として禁止している。
「西側の消失を超えて」: 「落ち着きのない」ポスト・トランプ秩序?
ハルバート・ウルフ | 2021年02月25日
ミュンヘン安全保障会議(MSC)は数十年間にわたり、論争を呼ぶ安全保障問題をめぐる対話を主に行う場所となっている。イランの核開発計画や、イスラエルとパレスチナ、アメリカとロシアのような不仲の国同士の協議など、複雑な問題が議題となり、公開または非公開で議論されてきた。MSCには、これまで多くの大統領、首相、外相、防衛相が出席している。2021年2月19日に開催された第57回会議は、過去56回の会議とはまったく異なるものだった。
気候変動対策――太平洋諸島フォーラムに必要なのは一つの大きな声
フォルカー・ベーゲ | 2021年02月22日
2月3日、太平洋諸島フォーラム(PIF)加盟国のリーダーたちが(オンラインで)集まり、「特別リーダーズリトリート会合(Special Leaders’ Retreat)」を開催した。目的はこの地域連合の新事務局長を指名するためで、パプアニューギニアのメグ・テイラー事務局長が2期目3年間の任期を4月に終了するのを受けて開催された。新事務局長には、クック諸島のヘンリー・プナ元首相が指名された。無記名投票の結果、プナ氏が9票、次点のマーシャル諸島の外交官ジェラルド・ザッキオス氏が8票を獲得した。これは、トップの地位がメラネシア出身者からポリネシア出身者に引き継がれるということを意味する。
分極化したアジア太平洋において、民主主義はクラブではなく目標であるべき
ダン・スレーター | 2021年02月18日
分極化が米国を分断している。ドナルド・トランプ前米国大統領のもとで、分極化は米国の民主主義をほとんどズタズタに引き裂いた。しかし、米国の内部が分極化しただけではない。太平洋の分極化にも直面している。中国との関係は、トランプ政権の数年間の後、国交正常化以来最悪の状態に達している。その間、トランプと習近平中国国家主席は揃って、強力な国家指導者としての個人崇拝を広めようとしていた。
核兵器禁止条約を推進するために
ティルマン・ラフ | 2021年02月16日
核兵器禁止条約(TPNW)は、2021年1月22日に発効した。多国間核軍縮条約の交渉が行われたのは25年ぶり(包括的核実験禁止条約<CTBT>以来)であり、そのような条約が発効したのは49年ぶりである(核兵器などの大量破壊兵器を海底に設置することを禁止する海底条約以来)。
NATO同盟国よ、TPNWを退けるなかれ
トム・サウアー | 2021年02月13日
2021年1月22日の核兵器禁止条約(TPNW)発効は、深い感慨と複雑な感情を生み出す。支持者たちは、グローバル・ゼロの山頂を目指す歩みが加速することを期待している。反対者たちは、核武装国が条約に署名するわけがないと繰り返している。しかし、核武装国が核兵器を禁止する気がないのなら、核不拡散条約(NPT)の規定に基づいて核兵器の削減を約束した彼らの言葉を、他の国々はまず信用しないだろう。それは、核不拡散・軍縮体制の「礎石」であるNPTにとって幸先の悪いことである。
「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。