
「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。
浮上するクアッド3.0: ハードな安全保障アジェンダを優先
ロバート・ミゾ | 2025年07月12日
2025年7月1日、クアッド(Quad=日米豪印戦略対話)の本年2回目となる外相会合がワシントンDCで開催された。第1回会合はドナルド・トランプが第47代米国大統領に就任した数時間後に開かれ、米国の新政権にとってクアッドが重要であることを示唆した一方、第2回目の会合は、戦略的かつハードな安全保障に関するアジェンダに改めて重点を置き、非伝統的安全保障を重視する姿勢から離れようとしており、クアッドが新たな局面に入りつつあることを示した。2007年に立ち消えになった最初のクアッドは人道支援と災害援助(HADR)に重点を置き、2017年に再開されたクアッド2.0は次第に広範な公益的アジェンダを設定するようになったが、今回はこうしたこれまでのクアッドからの脱却を表している。
ソーシャルメディアは民主主義を支えることも、損なうこともある – それは、どう設計されているかである
リサ・シャーク | 2025年07月09日
ソーシャルメディア・プラットフォームが行うあらゆる設計上の選択は全て、ユーザーを特定の行動、価値観、そして感情状態へと誘導する。 検証済みのニュースソースと陰謀論ブログを、家族のピクニック写真などと混在させ、全く異なる情報の種類を区別しないままニュースフィードに提供するのは、設計上の選択である。最も感情的で過激なコンテンツを見つけるアルゴリズムを用いて、ユーザーをオンラインにつなぎとめようとするのは、設計上の選択である。そして、鮮やかな赤色の通知を送り、次の写真や興味をそそるゴシップへの期待を人々に抱かせようとするのも、設計上の選択である。
ツバル国民の3人に1人が新設されたオーストラリア移住の「気候ビザ」に応募
ジェーン・マックアダム | 2025年07月03日
ツバル国民の3人に1人が、新設されたオーストラリア移住の「気候ビザ」に応募している。最終的には全員が応募することになるかもしれない理由を解説する。
選択は今もなお明白: 80周年迎えた国連憲章を再確認する
ジョーダン・ライアン | 2025年06月27日
以下の記事は、2025年6月26日にジョーダン・ライアンが国連憲章調印80周年に寄せて語ったものである。 今から80年前、サンフランシスコに世界中の国から代表者が集まった。ある文書に調印するだけではなく、ある約束をするためだった。
世界の軍事費急増が気候変動対策の脅威に
エリー・キニー | 2025年06月19日
軍事費の増大は、われわれが今すぐ行動しない限り、世界の気候変動対策を弱体化させるだろう。 今週、われわれは共同報告書 “How increasing global military expenditure threatens SDG 13 on Climate action”(世界の軍事費増大は気候変動対策に関するSDG13をいかに脅かすか)を発表した。これは、世界的な軍事費増大が持続可能な開発目標(SDGs)の達成に及ぼす影響について国連軍縮部が報告書を作成するよう呼びかけたことに応えて執筆されたものである。
ドナルド・トランプ: 運も専門知識もない自称ピースメーカー
ハルバート・ウルフ | 2025年06月03日
米国のドナルド・トランプ大統領は、1期目の頃から、戦争を迅速に終わらせ、紛争を解決するという意図を掲げていた。彼は、ウクライナ戦争を「24時間以内に」終わらせることを目指した。これは失敗に終わり、戦争の終わりははるか先のことのようだ。2018年と2019年にシンガポール、ハノイ、そして南北朝鮮間の非武装地帯で行われたトランプと北朝鮮の独裁者金正恩(キム・ジョンウン)との「歴史的会談」は、「ディール」なしで終わった。ガザ戦争も続いており、イスラエル軍による残忍な行為は衰えを知らない。イランの核計画をめぐる交渉にはほとんど進捗が見られない。トランプ政権は、フーシ派が軍事的に壊滅したと主張している。しかし、それに対する疑念はもっともなことだ。インドとパキスタンの間で4月末から5月初めに再燃した紛争だけは、どうやら食い止められたようだ。
「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。