Peace and Security in Northeast Asia スタイン・トネソン | 2025年01月22日
ウクライナで停戦合意をどのように実現するか: 朝鮮戦争の教訓

ウクライナでの戦争をどのように終わらせるかについて、1953年に朝鮮戦争を終わらせた休戦協定が一つの考え得るモデルとして挙げられている。これはもっともな話だ。しかし、トランプ政権は、ベトナム戦争の1973年パリ和平協定や2014~15年のミンスク合意のように、「戦闘停止の実施」とその後に真の和平合意に達するという空虚な見通しを組み合わせた手っ取り早い取り引きを選んでいるようだ。
朝鮮戦争を休戦に導いた交渉から得られた一つの教訓は、膠着状態に陥った戦争を終わらせるには忍耐強い外交が必要だということである。1951年7月に交渉が始まったとき、せっかちな毛沢東は2週間もあれば協定を締結できるだろうと考えた。しかし実際には、交渉に2年を要した。その結果が、国連の監督下で国境を正確に定め、朝鮮半島を横切る非武装地帯を設置するという長文の協定である。これが記された意図は、追って和平協定を締結するというものだった。しかし、これは無に帰した。その目的のためにジュネーブで開催された会議は、朝鮮戦争ではなくインドシナ戦争に関する協定の締結を決定した。それによってベトナムはその後21年間にわたって分断され、米軍がフランスに取って代わったのである。
朝鮮とウクライナの最大の違いは、ウクライナは単独で戦い、外部からは軍事支援を受けるのみであるのに対し、朝鮮戦争は主に米軍と中国軍が朝鮮半島で戦ったという点である。当時、休戦協定は、ソウルの李承晩(イ・スンマン)政権の望みに反して、米国を中心とする国連軍、中国の「人民志願軍」、北朝鮮軍の司令官らによって締結された。李承晩は南北統一を目指して戦争を続けることを望んでいた。米国との防衛条約を提示された後に初めて交渉の結果を受け入れたが、協定には決して署名しなかった。戦争の新たな勃発を防いでいる休戦協定に、韓国は署名したことがないのである。
朝鮮戦争とウクライナ戦争の主な類似点は、米国がソウルとキーウの政権の支援者という大きな役割を果たしていることである。どちらのケースでも、停戦が維持されることを保証する条件は、米国がいかなる合意にも責任を持ち、他の国々と共同で安全保障を提供することである。朝鮮半島で戦争がこの72年間再開していない主な理由は、韓国に米軍が駐留し続けていることである。米軍は、北朝鮮が侵攻すれば必ずや北朝鮮が負ける戦争になることを確実にする「仕掛け線」の役割を果たしている。同じ理由で、米国はウクライナに地上軍を配備する必要がある。
もう一つの類似点は、真の和平合意を結ぼうとする努力が無駄であるということだ。朝鮮半島で真の和平を実現するには、北朝鮮と韓国が国家統一に相互に合意するか、あるいは1973年に東西ドイツがそうしたようにお互いを独立国家と認めることに双方が合意する必要がある。1953~54年の李承晩と金日成(キム・イルソン)が平和条約を締結することは、今日のソウルと平壌(ピョンヤン)が締結するよりはるかに考えられないことだった。ウラジーミル・プーチン大統領が自発的にドンバスやクリミアから撤退することは、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領がウクライナの全領土に対する主権を認めない限定的な和平協定を締結することと同じくらいあり得ないことだ。国家主権と領土一体性の原則を維持するために、欧州と国連にとって、ロシアによるウクライナの主権侵害を国際的に認めないことも極めて重要である。従って、南北朝鮮と同じように、ロシアとウクライナは和平協定未満のもの、具体的には停戦協定で手を打たなければならない。これは戦闘を終結させ、何十万人もの命を救うかもしれないが、和平を構築することはない。
停戦は、単なる戦闘停止ではない。戦闘停止の場合、軍隊は、合意が結ばれた時点で配備されていた場所に留まることになる。ウクライナ戦争の停戦協定が遵守されるために、ロシアとウクライナの両軍は、明確に定められた非武装地帯の両側に撤退する必要がある。これは、前線が非常に長いためなかなか難しい。最も容易な妥協策は、ウクライナがロシアのクリミア支配を容認し、ロシアがドンバスから撤退することだ。このすっきりした解決策を双方が受け入れるよう、第三者がモスクワとキーウに圧力をかけるべきである。条件を飲みやすくするため、ウクライナがドネツクとルハンスクについて高度な地方自治を保証することも考えられる。国境全体に沿って衛星監視を用いた国際監視を行う必要があるだろう。いずれかまたは双方が戦闘部隊を動員しようとした、ドローン攻撃を開始しようとした、あるいはロケットランチャーを警戒態勢に置こうとした場合、警報が発せられ、強固な多国籍軍により安全保障措置が執行されるようにするべきである。
1953年の朝鮮戦争と2025年のウクライナ戦争の停戦に見られる最後の類似点は、それぞれの当事国が、合意された境界線の向こう側ではいかなる政治的干渉も控えなければならないという点である。ロシアとウクライナは完全に主権を有する独立した国家であり続けなければならない。南北朝鮮の和解は、ソウルが北朝鮮の体制変更を求めていないことを平壌に納得させられるかどうか、また、金正恩(キム・ジョンウン)が挑発的なミサイル実験と声高な脅しを控える意思があるかどうかに引き続きかかっている。プーチンは、ウクライナに内政干渉するとともにゼレンスキーを権力から排除できるよう、ウクライナで新たに選挙を行うという条項を協定に含めることを望んでいるようだ。これは破壊的な要求であり、交渉の仲介または推進役を担う国は一貫してこれを拒絶するべきである。ウクライナがいつ非常事態を解除し、民主的選挙を実施するかは、ウクライナ人自身が決定しなければならない。
トランプ大統領は、ウクライナに対して戦闘停止に合意するよう圧力をかけ、ウクライナは失った領土を完全に取り戻すこともNATOに加盟することもできないと、ウクライナに代わって譲歩している。彼が今やるべきことは、手っ取り早い脆弱な戦闘停止や一方が他方に干渉することを認める危険な解決ではなく、強力な保証があり、しっかりと監視された停戦に向けて交渉を行うよう、両国を説得するために努力を集中することだ。
スタイン・トネソンは、戸田記念国際平和研究所の上級研究員(北東アジアの平和と安全保障プログラム)である。オスロ国際平和研究所(PRIO)の名誉研究教授。