協調的安全保障、軍備管理と軍縮に関するグローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

協調的安全保障、軍備管理と軍縮に関するグローバル・アウトルック

ウクライナ後の核軍備管理・軍縮はどうなる? ある日本人の視点

阿部信泰  |  2022年06月30日

 ロシアがウクライナ側からの攻撃や挑発がないにもかかわらず同国に侵攻したことは、紛争の平和的解決、国家主権と領土保全の尊重、内政不干渉という国連憲章の基本原則に反するとして非難された。日本では、ロシアと同じく独裁国家である中国が台湾に軍事行動を起こすことが強く懸念されていたためか、強い反発があった。これは、2014年にロシアがクリミアを併合した際の日本の控えめな反応とは明らかに対照的であった。当時、安倍晋三首相は日本とロシア間の領土問題を解決するための和解の可能性に依然として期待を抱いていた。中国は日本にとって安全保障上の最大の脅威と考えられている。最近日本で行われた世論調査では、回答者の61%が、中国が日本にとって最大の脅威であると答え、15%がロシア、6%が北朝鮮を挙げていた。

核不拡散から核兵器禁止と核軍縮へと至る道筋: ロードマップ、ロードブロック、スピードバンプ

ラメッシュ・タクール  |  2022年06月28日

この記事は、“The Nuclear Ban Treaty: A Transformational Reframing of the Global Nuclear Order”(Routledge, 2022)の発刊を記念して、2022年6月24日(金)にウィーン軍縮不拡散センターで執筆者が行ったスピーチのテキストです。

核兵器禁止条約第1回締約国会議に寄せて 戸田平和研究所上級研究員ラメッシュ・タクール氏

南秀一  |  2022年06月20日

核兵器禁止条約の第1回締約国会議が、6月21日からオーストリアのウィーンで行われる。会議に合わせ、戸田記念国際平和研究所では、同条約に関するワークショップを開催する。同研究所の上級研究員でオーストラリア国立大学核不拡散・軍縮センター長のラメッシュ・タクール氏に、条約の意義と核兵器を巡る現状を聞いた(聞き手=南秀一)。

北朝鮮を覆う暗雲

ハルバート・ウルフ  |  2022年05月18日

北朝鮮では、ウクライナ戦争の陰に隠れ、国際的な関心も高まらないなか、問題含みの三つの事態が進行している。1、コロナ禍が懸念を引き起こしていること、2、新たに誕生した韓国の大統領の存在が対北朝鮮強硬策を予示していること、3、ロシアのウクライナ戦争に刺激され金正恩政権が核能力の増強に力を注ぎ続けていることである。このため、アジアにおける核拡散が懸念されている。

ダブルスタンダードは外交政策では当たり前

ラメッシュ・タクール  |  2022年05月05日

西洋人の中には、非西洋人に対して上から目線で意見するほど倫理的・知的に優位な立場にあると思い込む者がいるが、彼らがあそこまで著しく自己認識に欠けるのはどういうわけだろうか? トーマス・リッセとスティーブン・ロップは、1999年の書籍 「The power of human rights(仮訳:人権の力)」 で担当した章において、「西側諸国や国際組織の圧力は、規約に違反した国の政府の外的影響に対する脆弱性を大幅に増大させることができる」と書いている。

サッカー、パンデミック、クレムリン、軍事専門家について

ハルバート・ウルフ  |  2022年05月03日

大手新聞やニュースサイトのどれでも良いが、その分析や結論をちょっと見ると分かることがある。自称「軍事専門家」が担当し、「重火器」「飛行禁止区域」「対空砲」「旗艦」などが何であるかをわれわれに教えてくれようとしているのだ。別にいいじゃないか? 彼らは今や、かなりの期間この問題に取り組んでいるのだから。2022年2月24日から丸2カ月にもなる。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。