「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。
協調的安全保障、軍備管理と軍縮に関するグローバル・アウトルック
回避できたはずのウクライナの悲劇
文正仁(ムン・ジョンイン) | 2022年03月12日
ウクライナで起きたことにはさまざまな見解があるだろうが、突き詰めて考えれば、最も重要なそして悲劇的な事実は、このすべての破壊は回避できたはずだということである。
ウクライナ紛争におけるインドの利害
ラメッシュ・タクール | 2022年03月10日
国連安全保障理事会は2月25日、ロシアのウクライナ侵攻を非難するとともに攻撃停止と部隊撤退を求める決議案の採決を行った。米国とアルバニアが共同で提出した決議に対し、15の理事国のうち11カ国が賛成票を投じた。しかし、拒否権を行使できる常任理事国であるロシア(折しも2月の理事会議長国)による唯一の反対票によって否決された。棄権したのは、中国、インド、アラブ首長国連邦の3カ国であった。
プーチンのウクライナ戦争――袋小路からいかにして抜け出すか?
ハルバート・ウルフ | 2022年03月06日
欧州に戦争が戻ってきた。何ということだろう。今年の初め、われわれは自らに問うたものだ――冷戦が戻ってきたのか? ところが、今や熱い戦争となってしまった。これは欧州で初めての戦争ではない。北アイルランド、数度のバルカン戦争、ジョージア、モルドバでも戦争があった。今回、われわれは古い東西軍事ブロック間の対立に舞い戻ってしまったようだ。西側の政治家やメディアはこれを、ベルリンの壁の崩壊とアメリカ同時多発テロ事件(9/11)に続く3度目の歴史の転換点だと呼んでいる。
私たち全員が直面する5つの真の核の危険性
タニヤ・オグルヴィ=ホワイト | 2022年03月01日
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は突如、国防相と軍のトップに核抑止力部隊を「特別戦闘準備態勢」に移すよう命じた。これは、戦術核戦力を臨戦態勢に置くことを意味すると思われる。もちろんこれは、こけおどしかもしれない。しかし、プーチンは幾度となく、人命や地球を尊大なまでに軽視していること、自身の戦略目標を達成するためなら極端なリスクも平気で取ることを実証してきた。
所長声明:ウクライナ侵攻を受けて
ケビン・クレメンツ | 2022年02月28日
40年以上にわたって平和研究に携わってきた者として、国境線の変更と主権の侵害を目的とした、20世紀型の時代遅れのこの侵攻のもつ意味を、2022年の今になって知ろうとしていることに愕然としている。この戦闘は、第二次世界大戦以降で私が見てきたなかで最も露骨な越境攻撃であり、重大な国連憲章違反である。
プーチンは、1930年代のヒトラーではなく1999年のNATOの戦略に従っているのかもしれない
ラメッシュ・タクール | 2022年02月26日
ロシアのウクライナ侵攻については、二つの競合するナラティブがある。一つは、ウラジーミル・プーチン大統領はズデーテン地方に対するヒトラーの戦略を採用しており、彼の攻撃を止められなければ1938年のミュンヘンでの宥和政策の轍を踏むことになるというものだ。もう一つは、プーチンが1999年のコソボにおけるNATOの戦略をなぞっているという考えである。
「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。