協調的安全保障、軍備管理と軍縮に関するグローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

協調的安全保障、軍備管理と軍縮に関するグローバル・アウトルック

ウクライナ戦争におけるエスカレーションとデ・エスカレーション

トビアス・デビール、ハルバート・ウルフ  |  2022年03月15日

遅くとも2021年からウクライナ紛争をエスカレートさせてきた犯人が明白に存在する。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領である。彼は、その好戦的で冷笑的な戦争レトリックによって平和的解決の可能性を潰した。ウクライナは非武装化を要求されているだけでなく、存在する権利さえ否定されている。これに加え、「非ナチ化」という突拍子もない言い分や、西側が侵略を邪魔すれば核エスカレーションも辞さないという脅しもある。プーチンは、いわゆる「抑止力」を警戒態勢に置き、西側の制裁を宣戦布告とみなし、作戦面でもレトリック面でもエスカレートしていった。

ウクライナと核リスクに関する三つのコメント

ラメッシュ・タクール  |  2022年03月14日

核不拡散・核軍縮アジア太平洋リーダーシップ・ネットワーク(APLN)は、10年前の設立以来、三つの包括的目標を掲げて核の脅威に取り組んできた。核拡散に断固として反対する必要性、核軍縮に向けた信頼できる措置を取ること、核リスクを高める地政学的緊張を緩和する重要性である。ウクライナでは、この三つ全てが作用している。

回避できたはずのウクライナの悲劇

文正仁(ムン・ジョンイン)  |  2022年03月12日

ウクライナで起きたことにはさまざまな見解があるだろうが、突き詰めて考えれば、最も重要なそして悲劇的な事実は、このすべての破壊は回避できたはずだということである。

ウクライナ紛争におけるインドの利害

ラメッシュ・タクール  |  2022年03月10日

国連安全保障理事会は2月25日、ロシアのウクライナ侵攻を非難するとともに攻撃停止と部隊撤退を求める決議案の採決を行った。米国とアルバニアが共同で提出した決議に対し、15の理事国のうち11カ国が賛成票を投じた。しかし、拒否権を行使できる常任理事国であるロシア(折しも2月の理事会議長国)による唯一の反対票によって否決された。棄権したのは、中国、インド、アラブ首長国連邦の3カ国であった。

プーチンのウクライナ戦争――袋小路からいかにして抜け出すか?

ハルバート・ウルフ  |  2022年03月06日

欧州に戦争が戻ってきた。何ということだろう。今年の初め、われわれは自らに問うたものだ――冷戦が戻ってきたのか? ところが、今や熱い戦争となってしまった。これは欧州で初めての戦争ではない。北アイルランド、数度のバルカン戦争、ジョージア、モルドバでも戦争があった。今回、われわれは古い東西軍事ブロック間の対立に舞い戻ってしまったようだ。西側の政治家やメディアはこれを、ベルリンの壁の崩壊とアメリカ同時多発テロ事件(9/11)に続く3度目の歴史の転換点だと呼んでいる。

私たち全員が直面する5つの真の核の危険性

タニヤ・オグルヴィ=ホワイト  |  2022年03月01日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は突如、国防相と軍のトップに核抑止力部隊を「特別戦闘準備態勢」に移すよう命じた。これは、戦術核戦力を臨戦態勢に置くことを意味すると思われる。もちろんこれは、こけおどしかもしれない。しかし、プーチンは幾度となく、人命や地球を尊大なまでに軽視していること、自身の戦略目標を達成するためなら極端なリスクも平気で取ることを実証してきた。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。