グローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

核依存国はTPNW発効にいかに対応し得るか

アレクサンダー・クメント  |  2021年01月12日

1945年に核の時代が幕開けして以来、核兵器に対する各国の認識や戦略的立場には常に相違がある。2017年の核兵器禁止条約(TPNW)は、このような既存の分断を白日のもとにさらした。この条約は、核兵器の人道的影響やすべての人類にもたらす持続的リスクを、非核兵器国がますます重大視するようになった結果である。

タガが外れたリーダーたちと核兵器:今こそ行動を

タニヤ・オグルヴィ=ホワイト博士  |  2021年01月10日

私は、核兵器がもたらすリスクの研究に人生を費やしてきた。いつか核兵器保有国に、タガが外れた、そして核攻撃を開始する権限を持つリーダーが現れるのではないかとずっと心配だった。私にとっては常に、核兵器保有国のリーダーが理性的に行動するという前提は根本的に欠陥があり、危険なものだと思われた。かつて米国の国防長官を務めたロバート・マクナマラはこの問題を訴えて、「誤りを犯しがちな人類が核兵器をいつまでも持ち続ければ、国々の破滅をもたらす」と警告した。今日、私はこれまで以上にこの点を危惧している。そして、もっと多くの人が問題に目を向け、変化を強く求めることを願っている。

国連事務総長が警鐘:「自然に対する戦争」は「自殺的」

フォルカー・ベーゲ  |  2020年12月19日

「地球の状態は壊れている」。これは、人類が今日陥っている状況を端的にまとめた国連事務総長の言葉である。12月2日、世界の気候変動非常事態と環境の劇的劣化についての講演の中で、気候と環境が現在直面する危機の深刻さを示す最も重要な事実をいくつか挙げている。「この10年間は、人類の歴史上最も暑い10年間だった」、「二酸化炭素濃度は依然として記録的に高く、さらに上昇している」、「今世紀、われわれは摂氏3~5度という途方もない気温上昇に突き進んでいる」、「いつものことだが、最も深刻な影響を受けるのは世界で最も脆弱な人々である。問題を引き起こすようなことを最もしていない人々が最も苦しんでいる」。

核兵器国は使用後責任を受け入れるか?受け入れないなら、それはなぜか?

ジョージ・パーコビッチ  |  2020年12月17日

核兵器禁止条約(TPNW)を批判する者も支持する者もほとんど注意を払っていないが、この条約には過去および将来起こり得る核兵器の爆発に対する法的責任を定める条項がある。条約は個々の締約国に対し、特に「核兵器の使用または実験により被害を受けた締約国に、技術的、物質的、財政的支援を提供する」こと、そして「核兵器または他の核爆発装置の使用または実験の被害者に支援を提供する」ことを求めている(第7条)。ここに述べられている被害者とは、核保有国の決定に対する発言権も、決定による利益もない非交戦国かもしれない。

禁止には触れないでくれ:核兵器禁止条約を回避しようとするオーストラリア

ジェム・ロムルド  |  2020年12月14日

核兵器禁止条約(TPNW)は、ひとつのゲームチェンジャーである。この条約はすべての核兵器保有国を国際法違反の状態に置いた。安全保障ドクトリンに核兵器を組み込んでいる国も同様である。この条約は、各地域の非核兵器地帯を連合させ、他の核兵器管理条約の上に立脚し、10ページの簡素な文言で核兵器を許すいかなる活動も断罪する。

バイデン政権がとり得る対北朝鮮三つの政策

文正仁(ムン・ジョンイン)  |  2020年12月12日

ジョー・バイデンの次期米国大統領就任がほぼ確実となった今、世界の目は再び米国に向けられている。人々はバイデンの施政方針について憶測を巡らせている。彼はドナルド・トランプの「アメリカ・ファースト」主義から脱却し同盟国を重視するとともに、国際社会における多国間主義を回復させると約束しているからだ。しかし、韓国の人々にとって最大の関心事である北朝鮮の核問題について、バイデン政権がどのような政策を採用するかは、ほとんど未知数である。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。