
「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。
協調的安全保障、軍備管理と軍縮に関するグローバル・アウトルック
私たち全員が直面する5つの真の核の危険性
タニヤ・オグルヴィ=ホワイト | 2022年03月01日
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は突如、国防相と軍のトップに核抑止力部隊を「特別戦闘準備態勢」に移すよう命じた。これは、戦術核戦力を臨戦態勢に置くことを意味すると思われる。もちろんこれは、こけおどしかもしれない。しかし、プーチンは幾度となく、人命や地球を尊大なまでに軽視していること、自身の戦略目標を達成するためなら極端なリスクも平気で取ることを実証してきた。
所長声明:ウクライナ侵攻を受けて
ケビン・クレメンツ | 2022年02月28日
40年以上にわたって平和研究に携わってきた者として、国境線の変更と主権の侵害を目的とした、20世紀型の時代遅れのこの侵攻のもつ意味を、2022年の今になって知ろうとしていることに愕然としている。この戦闘は、第二次世界大戦以降で私が見てきたなかで最も露骨な越境攻撃であり、重大な国連憲章違反である。
プーチンは、1930年代のヒトラーではなく1999年のNATOの戦略に従っているのかもしれない
ラメッシュ・タクール | 2022年02月26日
ロシアのウクライナ侵攻については、二つの競合するナラティブがある。一つは、ウラジーミル・プーチン大統領はズデーテン地方に対するヒトラーの戦略を採用しており、彼の攻撃を止められなければ1938年のミュンヘンでの宥和政策の轍を踏むことになるというものだ。もう一つは、プーチンが1999年のコソボにおけるNATOの戦略をなぞっているという考えである。
ウクライナ危機はパワーシフトの時代の地政学的な断層を映し出す
ラメッシュ・タクール | 2022年01月31日
あらゆる大国は、外交政策を貫く組織原則を必要とする。大国は歴史の潮流の中で盛衰するもので、繁栄が永遠に続く国もなければ、永遠に衰退し続ける国もない。ある大国の退潮が恒久的な衰退の始まりなのか、それとも単に一時的な後退なのかを確実に判断する方法はない。パワー移行期における地政学的な断層は、相対する大国の誤算に根差した戦争を引き起こす重大なリスクを孕んでいる。
ブレア元英首相のナイト受勲が示す歴史の嘲笑
ラメッシュ・タクール | 2022年01月13日
銀行はかつて、マスクをした強盗を恐れていたが、いまやマスクをしない顧客を恐れている。歴史の皮肉である。しかし、歴史の嘲笑もあるのではないか? 1984年のノーベル平和賞を受賞したデズモンド・ツツ元大主教が、ケープタウンでボクシングデー(12月26日)に死去した。10年近く前、ヨハネスブルグでツツ元大主教はトニー・ブレア元英首相と同じ壇に上がることを拒否し、ブレアは戦争犯罪の罪を負ってハーグで被告席にいるべきだと述べた。
プーチンとバイデン: 誰が先に目をそらすか?
ハルバート・ウルフ | 2022年01月02日
しきりに冷戦のレトリックを弄し軍事力を誇示した揚げ句、米国とロシアの大統領が会談し、ウクライナ問題について、また欧州の安全保障構造に関するより一般的な問題について話し合う。EUは直接的な影響を受けるが、取り残され思いを巡らすのみである。
「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。