協調的安全保障、軍備管理と軍縮に関するグローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

協調的安全保障、軍備管理と軍縮に関するグローバル・アウトルック

オーストラリアの原子力潜水艦は核拡散のパンドラの箱を開ける恐れがある

タリク・ラウフ  |  2021年09月19日

数年前、原子力潜水艦(SSN)隊を手に入れるという“血迷った”ともいえる渇望に苦しんだ後、オーストラリアはついに、中国に対抗して新たに結成されたAUKUS(オーストラリア、英国、米国)というパッとしない名称を冠された同盟の下、バイデン政権から8隻のSSNを約束された。

今こそ世界の軍事費削減の好機

ミヒャエル・ブルゾスカ  |  2021年09月11日

今こそ、世界の軍事費を削減するイニシアチブの好機である。世界の軍事費は記録的水準にある。もっかのコロナ禍は、将来の危機を予防し、これに対処するためには財源が必要であることをはっきりと思い起こさせる。

核兵器禁止から核軍縮への道

ラメッシュ・タクール  |  2021年08月09日

広島と長崎への原爆投下から76年経ち、核兵器を非合法化する国際条約が初めて発効した。先月私は、核兵器禁止条約(正式には、核兵器の禁止に関する条約)に関する論文集を完成させ、出版社に送ったところである。執筆は、学術界、シンクタンク、各国外務省、市民社会から、多くのよく知られた方々に担当していただいた。32の章には、多くのテーマが繰り返し登場する。

自律型兵器システムの規制

スチュアート・ケイシー・マスレン  |  2021年07月05日

近年、アルゴリズム技術の進歩とともに、完全自律型兵器システムの国際的な法規制が、国際安全保障上および人道上の課題として浮上している。しかし、そのような兵器システムの全面禁止を求めることは、時期尚早でもあり、失敗が運命づけられてもいる。時期尚早である理由は、自律型兵器システムが、特に武力紛争下において民間人の命を守るものになるかどうか、私たちはまだ正確に知りえないからである。そして、失敗が運命づけられている理由は、軍事大国のほとんどが、表向きは時折否定して見せるものの、自律型兵器の配備を目指してすでに躍起になっているからである。

人工知能戦争

デニス・ガルシア  |  2021年03月29日

21世紀3番目の十年紀は、消耗をもたらすパンデミックに祟られたスタートを切った。2020~21年の世界経済における損害は10兆ドルにのぼる。今は、軍事力をひけらかしたり、破綻した戦略を売り込んだりする時ではない。米国が先陣を切って推進している人類の共通利益のためのAI活用を目指す、真に画期的な21世紀の青写真は整っている。

軍拡競争と新たな冷戦への途上か?

ハルバート・ウルフ  |  2021年03月19日

ちょうど1年前、コロナ禍初期の2020年3月23日に、アントニオ・グテーレス国連事務総長は世界的停戦を呼びかけた。彼は、「今こそ力を合わせ、平和と和解に向けた新たな努力を行うべき時だ。そこで私は、今年末までに世界的停戦を実現できるよう、安全保障理事会を中心に一段と強化した国際努力を求める。……世界は、全ての『ホットな』紛争を止めるために全世界的な停戦を必要としている。同時に私たちは、新たな冷戦を防ぐためにあらゆることをしなければならない」と述べた。彼の緊急アピールは、無視されたままである。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。