協調的安全保障、軍備管理と軍縮に関するグローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

協調的安全保障、軍備管理と軍縮に関するグローバル・アウトルック

トランプのカオスが投げかけた唯一人の核発射権限というリスク

ラメッシュ・タクール  |  2021年01月19日

核兵器を批判する人々は、ずっと以前から二つのリスクを指摘してきた。第1は、核抑止の安定性は、全核保有国のすべてのフェイルセーフ機構がいつ何時も機能していることに依存しているということだ。それは、核による平和をいつまでも維持するにはあまりにも高いハードルである。第2は、世界の9核保有国において、理性的な意思決定者が政権を握る必要があるということである

核依存国はTPNW発効にいかに対応し得るか

アレクサンダー・クメント  |  2021年01月12日

1945年に核の時代が幕開けして以来、核兵器に対する各国の認識や戦略的立場には常に相違がある。2017年の核兵器禁止条約(TPNW)は、このような既存の分断を白日のもとにさらした。この条約は、核兵器の人道的影響やすべての人類にもたらす持続的リスクを、非核兵器国がますます重大視するようになった結果である。

タガが外れたリーダーたちと核兵器:今こそ行動を

タニヤ・オグルヴィ=ホワイト博士  |  2021年01月10日

私は、核兵器がもたらすリスクの研究に人生を費やしてきた。いつか核兵器保有国に、タガが外れた、そして核攻撃を開始する権限を持つリーダーが現れるのではないかとずっと心配だった。私にとっては常に、核兵器保有国のリーダーが理性的に行動するという前提は根本的に欠陥があり、危険なものだと思われた。かつて米国の国防長官を務めたロバート・マクナマラはこの問題を訴えて、「誤りを犯しがちな人類が核兵器をいつまでも持ち続ければ、国々の破滅をもたらす」と警告した。今日、私はこれまで以上にこの点を危惧している。そして、もっと多くの人が問題に目を向け、変化を強く求めることを願っている。

核兵器国は使用後責任を受け入れるか?受け入れないなら、それはなぜか?

ジョージ・パーコビッチ  |  2020年12月17日

核兵器禁止条約(TPNW)を批判する者も支持する者もほとんど注意を払っていないが、この条約には過去および将来起こり得る核兵器の爆発に対する法的責任を定める条項がある。条約は個々の締約国に対し、特に「核兵器の使用または実験により被害を受けた締約国に、技術的、物質的、財政的支援を提供する」こと、そして「核兵器または他の核爆発装置の使用または実験の被害者に支援を提供する」ことを求めている(第7条)。ここに述べられている被害者とは、核保有国の決定に対する発言権も、決定による利益もない非交戦国かもしれない。

禁止には触れないでくれ:核兵器禁止条約を回避しようとするオーストラリア

ジェム・ロムルド  |  2020年12月14日

核兵器禁止条約(TPNW)は、ひとつのゲームチェンジャーである。この条約はすべての核兵器保有国を国際法違反の状態に置いた。安全保障ドクトリンに核兵器を組み込んでいる国も同様である。この条約は、各地域の非核兵器地帯を連合させ、他の核兵器管理条約の上に立脚し、10ページの簡素な文言で核兵器を許すいかなる活動も断罪する。

核兵器禁止条約と「これまで通り」の間で:「核の傘」の下にある国々の役割

スベレ・ルードガルド  |  2020年12月07日

核兵器禁止条約(TPNWまたは禁止条約)は、核の傘の下にある国々の矛盾した取り組みを明らかにする。それらの国々の多くは核軍縮を強く支持しながら、一方で核兵器の重要性を強調し、核近代化を継続している同盟国の政策に賛成している。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。