協調的安全保障、軍備管理と軍縮に関するグローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

協調的安全保障、軍備管理と軍縮に関するグローバル・アウトルック

新たな優先順位の設定: EUは国内平和と開発プロジェクトから軍事政策に移行

ハルバート・ウルフ  |  2021年03月09日

EUの外交・安全保障政策は、不明確な概念、矛盾する利害、加盟国間の激しい論争に苦しんでいる。もっかのところ、軍事的・防衛的役割を強化することに優先順位が置かれている。10年前によく言われた「平和の力」としてのEUは脇へ押しやられ、地政学的野心が最前線に移動した。

核兵器禁止: ドイツ、オランダ、ベルギーの役割は?

モーリッツ・クット、ヤン・ホーケマ、トム・サウアー  |  2021年02月28日

1月22日、核兵器禁止条約が発効した。核禁止条約とも呼ばれるこの新たな条約は、締約国が核兵器を開発、製造、実験、備蓄することを禁止する。同様に、核兵器の使用、使用の威嚇も禁止する。同条約の締約国は54カ国で、さらに32カ国が条約に署名している。今後さらに多くの国が参加すると予想される。同条約は、地球に対する大きな脅威、すなわち、人類と環境に壊滅的な影響を及ぼす核兵器の戦争使用を法律として禁止している。

「西側の消失を超えて」: 「落ち着きのない」ポスト・トランプ秩序?

ハルバート・ウルフ  |  2021年02月25日

ミュンヘン安全保障会議(MSC)は数十年間にわたり、論争を呼ぶ安全保障問題をめぐる対話を主に行う場所となっている。イランの核開発計画や、イスラエルとパレスチナ、アメリカとロシアのような不仲の国同士の協議など、複雑な問題が議題となり、公開または非公開で議論されてきた。MSCには、これまで多くの大統領、首相、外相、防衛相が出席している。2021年2月19日に開催された第57回会議は、過去56回の会議とはまったく異なるものだった。

核兵器禁止条約を推進するために

ティルマン・ラフ  |  2021年02月16日

核兵器禁止条約(TPNW)は、2021年1月22日に発効した。多国間核軍縮条約の交渉が行われたのは25年ぶり(包括的核実験禁止条約<CTBT>以来)であり、そのような条約が発効したのは49年ぶりである(核兵器などの大量破壊兵器を海底に設置することを禁止する海底条約以来)。

NATO同盟国よ、TPNWを退けるなかれ

トム・サウアー  |  2021年02月13日

2021年1月22日の核兵器禁止条約(TPNW)発効は、深い感慨と複雑な感情を生み出す。支持者たちは、グローバル・ゼロの山頂を目指す歩みが加速することを期待している。反対者たちは、核武装国が条約に署名するわけがないと繰り返している。しかし、核武装国が核兵器を禁止する気がないのなら、核不拡散条約(NPT)の規定に基づいて核兵器の削減を約束した彼らの言葉を、他の国々はまず信用しないだろう。それは、核不拡散・軍縮体制の「礎石」であるNPTにとって幸先の悪いことである。

国家主権の「責任」と核兵器禁止条約

ラメッシュ・タクール  |  2021年02月08日

1984年、ロナルド・レーガン大統領は、核の王様は服を着ていないと述べた。「われわれ2カ国[米国とソ連]が核兵器を保有することの唯一の価値は、それらが決して使われないようにすることだ。だとしたら、核兵器を完全に廃止したほうが良くはないだろうか?」と。まったくその通りである。核兵器禁止条約(TPNW)は、核兵器の倫理性、合法性、正当性における新たな規範となる解決点を提供することで、それを実現しようとしている。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。