協調的安全保障、軍備管理と軍縮に関するグローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

協調的安全保障、軍備管理と軍縮に関するグローバル・アウトルック

ラテンアメリカと核廃絶の追求:トラテロルコ条約から核兵器禁止条約へ

シーザー・ジャラミロ  |  2020年11月30日

2014年2月14日、核兵器の人道的影響に関する第2回国際会議が終了し、フアン・マヌエル・ゴメス・ロブレド議長(当時のメキシコ外務次官)は、閉会の辞において、会場にみなぎる空気を力強い言葉で表現した。核兵器廃絶に向けた国際努力において、この会議は「後戻りできない分岐点」となったと。彼の楽観的な結びの言葉は、拍手喝采を浴びた。

非武装国を武装解除:核兵器禁止条約の現実

マンプリート・セティ  |  2020年11月28日

ホンジュラスは2020年10月24日、核兵器禁止条約(TPNW)の50番目の批准国となった。その日から90日後に、通称「禁止条約」は発効することになっている。軍備管理条約が途中で頓挫することが多い昨今、これは心強い動きである。しかし、 画期的出来事であるにもかかわらず、TPNWが核兵器なき世界(NWFW)の到来を告げるという目標を達成する見込みは薄い。核兵器の開発、実験、生産、製造、取得、移譲、保有、貯蔵、使用、使用の威嚇を果敢にも非合法化しているが、現時点では核兵器を持っていない国に対して核兵器を禁止しているのである!

板挟みになって:NATOの非核兵器保有国、NPT、そしてTPNW

ポール・マイヤー  |  2020年11月26日

多くのNATO加盟国にとって、この数年間は、核政策の面で困難な時期だった。ジレンマの元は、核兵器禁止条約(TPNW)の登場である。この条約は、いわばホブソンの選択をNATO加盟国に突き付けた。2017年7月に採択された同条約は、(発効要件である50カ国の批准を(2020年)10月24日に達成したことを受けて)2021年1月22日に発効する。世界の核ガバナンスにおいて初めて、TPNWは、核兵器の使用または使用の威嚇に加えて、その保有を非合法化した。また、条約締約国の領内に核兵器や関連インフラを受け入れること、あるいは条約に違反するいかなる「支援」を提供することも、具体的に禁止している。

禁止の力:核兵器活動を非合法化

ジョリーン・プレトリウス  |  2020年11月24日

2021年1月に発効する核兵器禁止条約(TPNW)は、多くの活動を非合法化することにより核兵器を禁止するものである。これには、核兵器の保有、開発、実験、貯蔵、移譲、使用、使用の威嚇、奨励、配備などがある。なぜ核兵器の禁止が、核兵器に対する人々の考え方に心理的転換をもたらす歴史上重要な転換点であるかを理解するためには、何かを非合法化することが意味するものを理解する必要がある。

TPNWはNPTと矛盾するか、あるいは弱体化させるのか?

タリク・ラウフ  |  2020年11月22日

核兵器禁止条約(TPNW)は、必ずしも、条約を支持する非核兵器保有国(NNWS)と核兵器保有国の大半および米国の核の傘に守られた米同盟国との間に争いをもたらす種となっているわけではない。TPNWに反対する人々は、TPNWに関する多くの懸念や欠点を指摘している。この短い論稿は、そのいくつかに答えるものである。

核実験禁止条約の次期監督者選出に寄せて

ラメッシュ・タクール  |  2020年11月19日

世界的パンデミックの悪夢と核兵器管理の支柱崩壊のただなかで、反核運動の天空に今なお明るく輝く数少ない星の一つのリーダーが、11月25~27日にウィーンで選出されることになっている(訳者注=パンデミックのため、2021年以降に延期された)。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。