グローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

カブール制圧に向けたタリバンのソーシャルメディア作戦

イリア・プヨサ  |  2021年10月17日

カブールに向かって進攻している時、タリバンは、WhatsAppのボイスノート、TwitterやFacebookへの投稿を通して、自分たちの軍事的勝利を予想していた。タリバン反乱軍は、アフガン政府軍の兵士たちが大して戦いもせず投降しているというストーリーを、複数のメディアを駆使して作り上げた。カブール制圧の前日、タリバンが勝利に向かって前進する光景を携帯電話やドローンで撮影した映像が世界に配信された。タリバンによる電光石火のアフガニスタン制圧には、いくつかの政治的要因と軍事的要因があった。その中でも、ソーシャルメディアを使った戦争プロパガンダコンテンツが、アフガニスタン政権崩壊に役割を果たした。タリバンのソーシャルメディアを駆使したコミュニケーション戦略は、米国の「大国」イメージに楯突くタリバンの優位さという新たな物語を助長する手段となった。

北東アジアに信頼関係を築くには?

ヒュー・マイアル  |  2021年10月15日

北東アジアの人々は、もし状況が違って「さえいたら」、平和と安全保障の分野で何を望むだろうか?カーネギーの調査によれば、韓国の人々の過半数が、南北統一後も統一国家は米国との同盟関係を継続するべきだと信じている。また、過半数が統一国家は中国とも同盟を結ぶべきだと感じている。大多数が、南北統一は平和的妥協によってもたらされ得ると期待している。

太平洋の市民社会が気候関連の移住に関する地域協議会行う

サビラ・コエーリョ/クリストファー・イー  |  2021年10月12日

2021年6月、太平洋気候変動移住と人間の安全保障(Pacific Climate Change Migration and Human Security: PCCMHS)プログラムは、気候関連の移住に関する地域市民社会協議会を開催した。このオンライン協議会は、国際移住機関(IOM)が計画したもので、太平洋全域の市民社会の代表者が気候変動に関連した移住、立ち退き、計画移転が人間の安全保障にもたらす影響を検討し、コミュニティーに及ぼす影響について経験を共有し、地域に根差した解決策の策定に向けて話し合う機会を提供した。

EUは脇に追いやられたのか?

ハルバート・ウルフ  |  2021年10月10日

バイデン政権が数週間の間に一方的に下した外交・安全保障政策上の二つの決定に、欧州諸国は途方に暮れている。ドナルド・トランプが米大統領の座から退いて以来、欧米関係のトーンのみが変化し、「アメリカ・ファースト」政策の本質は変わっていないのだろうか?

危ぶまれるイラン核合意の行方

アミン・サイカル  |  2021年10月08日

イラン核合意(正式には包括的共同行動計画、JCPOAと呼ばれる)の再建をめぐるイラン・イスラム共和国と米国の外交的駆け引きは、ほとんど永遠に続くかのようである。互いに瀬戸際外交を展開し最大限の利益を手に入れようとしている。

オーストラリア政府の場当たり的気候政策に思わぬところから批判

フォルカー・ベーゲ  |  2021年10月05日

現在のオーストラリア政府は、気候政策において他の先進国に大きく後れを取っている。政府の関与と努力が不足しているとして、国内外、とりわけ太平洋地域の近隣諸国から批判が出ている。太平洋島嶼国(PICs)は、特に気候変動の影響にさらされ、これに対して脆弱であり、気候変動に関する国際的な外交イニシアチブの最前線に立っている。これらの国の地域協力機構である太平洋諸島フォーラム(オーストラリアとニュージーランドも加盟)は、2018年の地域安全保障に関するボエ宣言において、気候変動は「太平洋諸国の人々の生計、安全保障、福祉を脅かす最大の単独要因」であると断言している。オーストラリアは再三にわたり、お粗末な気候政策に対して他のフォーラム加盟国から圧力をかけられている。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。