グローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

EUは脇に追いやられたのか?

ハルバート・ウルフ  |  2021年10月10日

バイデン政権が数週間の間に一方的に下した外交・安全保障政策上の二つの決定に、欧州諸国は途方に暮れている。ドナルド・トランプが米大統領の座から退いて以来、欧米関係のトーンのみが変化し、「アメリカ・ファースト」政策の本質は変わっていないのだろうか?

危ぶまれるイラン核合意の行方

アミン・サイカル  |  2021年10月08日

イラン核合意(正式には包括的共同行動計画、JCPOAと呼ばれる)の再建をめぐるイラン・イスラム共和国と米国の外交的駆け引きは、ほとんど永遠に続くかのようである。互いに瀬戸際外交を展開し最大限の利益を手に入れようとしている。

オーストラリア政府の場当たり的気候政策に思わぬところから批判

フォルカー・ベーゲ  |  2021年10月05日

現在のオーストラリア政府は、気候政策において他の先進国に大きく後れを取っている。政府の関与と努力が不足しているとして、国内外、とりわけ太平洋地域の近隣諸国から批判が出ている。太平洋島嶼国(PICs)は、特に気候変動の影響にさらされ、これに対して脆弱であり、気候変動に関する国際的な外交イニシアチブの最前線に立っている。これらの国の地域協力機構である太平洋諸島フォーラム(オーストラリアとニュージーランドも加盟)は、2018年の地域安全保障に関するボエ宣言において、気候変動は「太平洋諸国の人々の生計、安全保障、福祉を脅かす最大の単独要因」であると断言している。オーストラリアは再三にわたり、お粗末な気候政策に対して他のフォーラム加盟国から圧力をかけられている。

平和紛争研究が重要であり続ける理由 第2部

オリバー・リッチモンド  |  2021年10月04日

さて、現在われわれが経験していると思われる体制移行の後、平和紛争研究(PCS)には次に何が起こるだろうか?  第1部で挙げた肯定的な側面にもかかわらず、また、過去には新たな戦争が迫りつつある時期に荒野の唯一の声であったにもかかわらず、PCSは、昨今起こりつつあるこの局面の多くを予見することができなかった(いくつかの優れた例外はあるが)。

平和紛争研究が重要であり続ける理由 第1部

オリバー・リッチモンド  |  2021年10月03日

地政学的にも環境的にも、そして認識論的な意味においても世界の地殻変動が起きている。紛争指標と関連データは、全領域にわたって赤く点滅している。おそろしく自己中心的で欧州中心的なジャーナリスティックな分析では、暴力は恒久的に減少したとされているが、そうではない。

パキスタン: 未来に戻るのか?

サミナ・ヤスミーン  |  2021年10月01日

20年間にわたる米国とNATOによる占領の後、タリバンがカブールを制圧した。それは、パキスタンの支援を受けた政権が権力を握る9・11以前のアフガニスタンに戻ったかのように見えるかもしれない。しかし、20年経った今、根本的な違いがこの地域のすべての勢力に大きな困難をもたらしている。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。