グローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

到底無理な話

ハルバート・ウルフ  |  2022年06月22日

ロシアのウクライナ侵攻直後、全てのEU諸国および欧州NATO加盟国の政府が反応を示した。ウクライナを支援するだけでなく、自国の軍事費増額も発表したのである。しかし、実際には全ての費用を賄えるわけではないことを示すいくつかの兆候がある。

核兵器禁止条約第1回締約国会議に寄せて 戸田平和研究所上級研究員ラメッシュ・タクール氏

南秀一  |  2022年06月20日

核兵器禁止条約の第1回締約国会議が、6月21日からオーストリアのウィーンで行われる。会議に合わせ、戸田記念国際平和研究所では、同条約に関するワークショップを開催する。同研究所の上級研究員でオーストラリア国立大学核不拡散・軍縮センター長のラメッシュ・タクール氏に、条約の意義と核兵器を巡る現状を聞いた(聞き手=南秀一)。

先住民を脅かす気候変動――彼らの視点を取り入れよ

カリン・ゲルハルト/ジョン・デイ/ラリッサ・ヘイル/スコット・F・ヘロン  |  2022年06月13日

オーストラリアの先住民は気候変動による多くの脅威に直面しており、それは食料供給から健康問題にまで及ぶ。例えば、海面上昇によりすでにトレス海峡の島々では浸水が発生しており、壊滅的な被害が生じている。

揺らぐ米国のリーダーシップが生み出す不安定な世界秩序

文正仁(ムン・ジョンイン)  |  2022年06月02日

地政学において、覇権とは一つの国に権力が集中することを指す。覇権国が力によって世界を支配するとき、帝国が誕生する。しかし、国家がその地位を利用して新たな世界秩序を築き、共同の繁栄と平和を国際社会にもたらす場合には、その国家は覇権的リーダーシップを確立することができる。

北朝鮮を覆う暗雲

ハルバート・ウルフ  |  2022年05月18日

北朝鮮では、ウクライナ戦争の陰に隠れ、国際的な関心も高まらないなか、問題含みの三つの事態が進行している。1、コロナ禍が懸念を引き起こしていること、2、新たに誕生した韓国の大統領の存在が対北朝鮮強硬策を予示していること、3、ロシアのウクライナ戦争に刺激され金正恩政権が核能力の増強に力を注ぎ続けていることである。このため、アジアにおける核拡散が懸念されている。

ウクライナをきっかけに北東アジアで核ドミノの懸念

文正仁(ムン・ジョンイン)  |  2022年05月10日

冷戦時代とは、人類が核戦争という恐ろしい見通しに震えた時代であった。しかし、それは同時に、核抑止戦略や多岐にわたる核軍縮交渉から戦略的安定性が形成された時代でもある。これは、冷戦のパラドックスとして知られる。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。