「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。
最新のIPCC報告書: 太平洋島嶼国に朗報なし
フォルカー・ベーゲ | 2022年04月01日
気候変動の影響・適応・脆弱性に関する最新のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告書(2022年2月28日発表)では、気候変動の影響がこれまで考えられていたよりも深刻で、今決定的な行動を取らなければ、状況は予想以上に急速に世界中で悪化していくことが示されている。そして、低地の島嶼国や島々は最も深刻な影響を受け、真に存続の脅威に直面することが強調されている。これは、特に太平洋島嶼国(PICs)にとって悪い知らせである。
イラン航空IR655便とマレーシア航空MH17便、2つの航空会社の物語とダブルスタンダード
ラメッシュ・タクール | 2022年03月23日
1988年7月3日、イラン領海内に停泊中の米海軍艦「ヴィンセンス」が2発の地対空ミサイルを発射して、イランの旅客機を撃墜、290人の乗客乗員全員が死亡した。ヴィンセンスの艦長と乗組員は、後に勲章を授与された。ジョージ・H・W・ブッシュ副大統領は、「アメリカを代表して謝罪することはない。事実がどうであれ構わない」と言い張った。
気候変動とインド・マニプール州の部族集落
ロバート・ミゾ | 2022年03月21日
気候変動の影響は広範囲であり、自然と密接に調和して伝統的な生活を送る部族集落にもそれは及ぶ。彼らにとって、気候変動は人権と平等の問題である。なぜならそれは、土地の劣化、農業の変化、降雨パターンの変化、害虫や病気の発生率の増加などによって、彼らの伝統的な生活様式や生産方法を破壊するからである。
核兵器禁止条約: 今後の見通し
ケネディ・グラハム | 2022年03月19日
核兵器禁止条約(TPNW)第1回締約国会議(CMP-1)は、2022年中頃に予定されている。賛否両論のこの条約を今後何が待ち受けているのだろうか?
プーチンのウクライナでの行動は卑劣だが、ロシアはNATOにひどく挑発された
ラメッシュ・タクール | 2022年03月15日
アルタ・モエイニは、バラク・オバマ大統領が「ワシントンプレイブック」と呼んだ外交政策の台本(その多くは軍事力の行使につながっている)に触れながら、西側の支配的エリートが主流メディアと結託して、善悪二元論の枠で誰もが感じる同情という自然な反応を特定の報復を求める道徳的な怒りへと仕向けている、と記している。その結果、アメリカの戦争マシーンが有効化され、高貴にさえなっている。しかし、これが機能するには、まずもってこの危機を引き起こした自らの責任というものを強力に否定してかからねばならない。
ウクライナ戦争におけるエスカレーションとデ・エスカレーション
トビアス・デビール、ハルバート・ウルフ | 2022年03月15日
遅くとも2021年からウクライナ紛争をエスカレートさせてきた犯人が明白に存在する。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領である。彼は、その好戦的で冷笑的な戦争レトリックによって平和的解決の可能性を潰した。ウクライナは非武装化を要求されているだけでなく、存在する権利さえ否定されている。これに加え、「非ナチ化」という突拍子もない言い分や、西側が侵略を邪魔すれば核エスカレーションも辞さないという脅しもある。プーチンは、いわゆる「抑止力」を警戒態勢に置き、西側の制裁を宣戦布告とみなし、作戦面でもレトリック面でもエスカレートしていった。
「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。