グローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

太平洋島嶼国にとって最も重要な安全保障上の懸念は、中国ではなく気候変動

フォルカー・ベーゲ  |  2022年08月02日

2022年7月半ばにフィジーのスバで開催された太平洋諸島フォーラム(PIF)加盟国の首脳会議は、通常以上に地域を超えた国際的注目を浴びた。中国と米国の間で地政学的競争が高まっている時期の開催だったからである。また、2019年以来初めての対面による首脳会議でもあった。過去2年間、コロナ禍により対面会議を開催することができなかったのである。

中国が北朝鮮の非核化を妨げているというポンペオの主張

文正仁(ムン・ジョンイン)  |  2022年07月28日

北朝鮮の核問題は、米国と北京の協力なくして解決することはできない。しかし、ポンペオのレトリックでは、それはほぼ不可能に近い。

核共有への懸念: 核軍備管理に痛手

ハルバート・ウルフ  |  2022年07月23日

ウクライナで戦争を始めて以来、ロシアは繰り返し核兵器に言及しており、その結果、核兵器が戦略論議の表舞台に再浮上している。これは、欧州に核戦争が起こるのではないかという懸念を引き起こし、核軍備管理への痛手となっている。残念なことにロシアの思考は波及効果をもたらし、NATOは、核抑止の必要性、特に欧州における核共有プログラムの必要性を改めて強調している。

プーチンの脅しは核不拡散体制にどれほどのダメージを与えたか?

ラメッシュ・タクール  |  2022年07月19日

ロシアによるウクライナ侵攻は、核兵器をめぐる世界の言説にすでに重大な影響を及ぼしていると言ってよいだろう。先月ウィーンで開催された核兵器禁止条約第1回締約国会議の審議において、ウクライナにおける戦争は、抑止力としての、また強制外交の手段としての核兵器の有用性と限界、核兵器を放棄したことの見識、核兵器を獲得することまたは他国の核の傘下に入ることへのインセンティブ、そして何より、誰も望まず、誰もが恐れる全面核戦争という激烈なリスクに大きな影を投げかけた。

西側が直面する専制政治と神権政治の新同盟

アミン・サイカル  |  2022年07月16日

世界の政治は、分極化の不穏な局面に達している。この状況の根底には、おもに米国が主導する民主主義国家と、ロシアと中国が主導する専制主義国家との間の闘争がある。しかし、ほかにも危険な側面がある。専制主義の大国とアフガニスタンのタリバンのような過激な神権主義勢力との密接な関係が浮上してきたことである。

〈特別インタビュー〉 核兵器禁止条約 第1回締約国会議 アレクサンダー・クメント議長

樹下智  |  2022年07月11日

最大の成果は、最終日に、核なき世界を目指す「ウィーン宣言」と、50項目からなる「行動計画」を採択できたことです。多国間で合意された核軍縮に関する文書で、これ以上に強力なものは今までなかったと思います。これほど多くの国が、核兵器の脅威を訴え、(保有国による核兵器の維持・近代化・改良・増産など)現在の誤った方向性を批判し、核兵器を全面禁止することを強く支持したわけですから。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。