グローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

太平洋の小環礁島の大潮渦にIPCCが大きな波紋投げかける

フォルカー・ベーゲ  |  2022年03月05日

2022年2月25日、パプアニューギニア(PNG)のブーゲンビル自治州政府は、同州の環礁行政区に非常事態を宣言した。2月28日には気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、最新の気候科学報告書を発表した。ブーゲンビルの非常事態は世界からはほとんど注目されなかったが、IPCCの報告書は幅広い国際的な注目を集めた(ウクライナの戦争の陰に隠れたため、ふさわしい注目とは言えなかったが)。この二つの事柄は密接に関連している。非常事態は、IPCC報告書が科学的に取り組んでいることの現実的表現であり、IPCC報告書はブーゲンビル環礁で起こっていることの説明になっているのである。

私たち全員が直面する5つの真の核の危険性

タニヤ・オグルヴィ=ホワイト  |  2022年03月01日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は突如、国防相と軍のトップに核抑止力部隊を「特別戦闘準備態勢」に移すよう命じた。これは、戦術核戦力を臨戦態勢に置くことを意味すると思われる。もちろんこれは、こけおどしかもしれない。しかし、プーチンは幾度となく、人命や地球を尊大なまでに軽視していること、自身の戦略目標を達成するためなら極端なリスクも平気で取ることを実証してきた。

所長声明:ウクライナ侵攻を受けて

ケビン・クレメンツ  |  2022年02月28日

40年以上にわたって平和研究に携わってきた者として、国境線の変更と主権の侵害を目的とした、20世紀型の時代遅れのこの侵攻のもつ意味を、2022年の今になって知ろうとしていることに愕然としている。この戦闘は、第二次世界大戦以降で私が見てきたなかで最も露骨な越境攻撃であり、重大な国連憲章違反である。

プーチンは、1930年代のヒトラーではなく1999年のNATOの戦略に従っているのかもしれない

ラメッシュ・タクール  |  2022年02月26日

ロシアのウクライナ侵攻については、二つの競合するナラティブがある。一つは、ウラジーミル・プーチン大統領はズデーテン地方に対するヒトラーの戦略を採用しており、彼の攻撃を止められなければ1938年のミュンヘンでの宥和政策の轍を踏むことになるというものだ。もう一つは、プーチンが1999年のコソボにおけるNATOの戦略をなぞっているという考えである。

気候移住がベンガル湾地域の紛争に拍車

アヌラダ・ナガラジ  |  2022年02月23日

気候変動の圧力は、人々が故郷を離れることを余儀なくし、土地、水、鉱物といった貴重だが減少しつつある天然資源をめぐる緊張を悪化させている、と新しい報告は指摘する

偽旗作戦とフェイクニュースの出会い: ウクライナ侵攻はどうなるか

ラメッシュ・タクール  |  2022年02月19日

NATOの初代事務総長を務めたイスメイ卿は、NATOの使命を「ソ連を締め出し、米国を引き入れ、ドイツを抑え込むこと」と印象的に表現した。冷戦が終結しても解散するのではなく、NATOはその存在を正当化する新たな敵と使命を求めて軍事同盟となった。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。