グローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

グラスゴー気候変動会議: コップは半分空

イアン・フライ  |  2021年12月07日

グラスゴー気候変動会議、通称COP(コップ)26は、多くの人にとって大きな失望をもたらすものだった。英国政府は多くの約束をしたが、石炭火力の段階的廃止への言及をめぐる土壇場での紛糾は、多くの人にとって後味の悪いものとなった。グラスゴーは、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5°Cに抑えるというパリ協定の目標に向けて国際社会の方向性を定めるチャンスだった。太平洋の小島嶼開発途上国にとって、グラスゴー会議は、気候変動に対するグローバルな行動を促す転換点となるはずだった。

太平洋諸国、COP26できっぱりと主張

フォルカー・ベーゲ  |  2021年12月04日

COP26に出席するため2021年11月にグラスゴーまでたどり着くことができた太平洋諸島民は、ごくわずかだった。会議出席者約3万人のうち、太平洋諸島国家(PICs)からの出席者は140人程度のみである。コロナ禍による制約のため、政府派遣団も市民社会の代表者も、これまでのCOPと比べると大幅に少なくなった。

キリバスの人々に迫る海 ― オーストラリアへの移住は実現するか?

アカ・リモン/アノテ・トン  |  2021年11月30日

私たちの環礁国は海抜2メートルしかなく、水は私たちに迫りつつある。グラスゴーで開かれた気候会議COP26の進展と気運にもかかわらず、いまだに気候変動による最悪の事態を回避するために十分なスピードで行動していない。

AUKUS加盟国はフランスとの関係修復へ挽回努力が必要

ラメッシュ・タクール  |  2021年11月17日

スコット・モリソン豪首相は、エマニュエル・マクロン仏大統領とジョー・バイデン米大統領とのいざこざに巻き込まれている。そのため、パワーの不均衡を考えると、オーストラリアは身の丈に合わない大国間関係のなかで無防備かつ脆弱な状態に置かれる恐れがある。2頭のゾウが争うときも交尾するときも、草は踏みつけられるという民話は、アフリカとアジアの各地にさまざまな形で見られる。ペロポネソス戦争を記録したトゥキディデスの著作『戦史』の「メロス対談」で、メロス島はアテネ陣営により、正義や公正の問題はパワーが対等な者同士の関係においてのみ適用されるものだと、厳しく警告される。それ以外の関係では、「強い者はできることをやり、弱い者はしなければならないことをやる」のである。

中国と米国: 反目する被害妄想の2大国

チャンイン・ムーン(文正仁)  |  2021年11月11日

米国は中国に抱く恐怖を大袈裟に言い立てており、それが今度は中国をほとんどヒステリックなほど攻撃的な防御態勢に駆り立て、問題を悪化させている。

われわれは中国との冷戦に向かっているのか?

ハルバート・ウルフ  |  2021年11月09日

ここ数カ月、「冷戦の再来が迫っている、今度の相手は中国だ」という声をよく聞く。その危険はどれほど大きいのか? 危険な対立を示唆する状況もあれば、ソ連やその同盟国との冷戦時代とは全く異なる状況もある。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。