グローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

揺らぐ米国のリーダーシップが生み出す不安定な世界秩序

文正仁(ムン・ジョンイン)  |  2022年06月02日

地政学において、覇権とは一つの国に権力が集中することを指す。覇権国が力によって世界を支配するとき、帝国が誕生する。しかし、国家がその地位を利用して新たな世界秩序を築き、共同の繁栄と平和を国際社会にもたらす場合には、その国家は覇権的リーダーシップを確立することができる。

北朝鮮を覆う暗雲

ハルバート・ウルフ  |  2022年05月18日

北朝鮮では、ウクライナ戦争の陰に隠れ、国際的な関心も高まらないなか、問題含みの三つの事態が進行している。1、コロナ禍が懸念を引き起こしていること、2、新たに誕生した韓国の大統領の存在が対北朝鮮強硬策を予示していること、3、ロシアのウクライナ戦争に刺激され金正恩政権が核能力の増強に力を注ぎ続けていることである。このため、アジアにおける核拡散が懸念されている。

ウクライナをきっかけに北東アジアで核ドミノの懸念

文正仁(ムン・ジョンイン)  |  2022年05月10日

冷戦時代とは、人類が核戦争という恐ろしい見通しに震えた時代であった。しかし、それは同時に、核抑止戦略や多岐にわたる核軍縮交渉から戦略的安定性が形成された時代でもある。これは、冷戦のパラドックスとして知られる。

労働移住と気候正義?

キャロル・ファルボトコ、タウキエイ・キタラ、オリビア・ダン  |  2022年05月07日

移住は、気候変動に対する適応策となりうるものである。適応策としての移住には、気候に脆弱な場所からの恒久的移住だけでなく、一時的移住も含まれる。一時的移住者が、資金、新たな知識、改良された技術などの資源を持ち帰る、または送り返すことにより、気候に脆弱な地域のコミュニティーにレジリエンスを構築することができる。

ダブルスタンダードは外交政策では当たり前

ラメッシュ・タクール  |  2022年05月05日

西洋人の中には、非西洋人に対して上から目線で意見するほど倫理的・知的に優位な立場にあると思い込む者がいるが、彼らがあそこまで著しく自己認識に欠けるのはどういうわけだろうか? トーマス・リッセとスティーブン・ロップは、1999年の書籍 「The power of human rights(仮訳:人権の力)」 で担当した章において、「西側諸国や国際組織の圧力は、規約に違反した国の政府の外的影響に対する脆弱性を大幅に増大させることができる」と書いている。

サッカー、パンデミック、クレムリン、軍事専門家について

ハルバート・ウルフ  |  2022年05月03日

大手新聞やニュースサイトのどれでも良いが、その分析や結論をちょっと見ると分かることがある。自称「軍事専門家」が担当し、「重火器」「飛行禁止区域」「対空砲」「旗艦」などが何であるかをわれわれに教えてくれようとしているのだ。別にいいじゃないか? 彼らは今や、かなりの期間この問題に取り組んでいるのだから。2022年2月24日から丸2カ月にもなる。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。