現代平和研究と実践に関するグローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

現代平和研究と実践に関するグローバル・アウトルック

平和紛争研究が重要であり続ける理由 第1部

オリバー・リッチモンド  |  2021年10月03日

地政学的にも環境的にも、そして認識論的な意味においても世界の地殻変動が起きている。紛争指標と関連データは、全領域にわたって赤く点滅している。おそろしく自己中心的で欧州中心的なジャーナリスティックな分析では、暴力は恒久的に減少したとされているが、そうではない。

パキスタン: 未来に戻るのか?

サミナ・ヤスミーン  |  2021年10月01日

20年間にわたる米国とNATOによる占領の後、タリバンがカブールを制圧した。それは、パキスタンの支援を受けた政権が権力を握る9・11以前のアフガニスタンに戻ったかのように見えるかもしれない。しかし、20年経った今、根本的な違いがこの地域のすべての勢力に大きな困難をもたらしている。

タリバン復権で高まるインドの安全保障上の懸念

シャム・サラン  |  2021年09月29日

カブールにおけるタリバン政権の復活は、インドにとって痛手である。過去20年にわたってアフガニスタンで築いてきた政治、経済、安全保障面の大きな財産が、水泡に帰したのである。これには、インドがこの国に30億米ドル以上を投資して実施した数件の重要なインフラプロジェクト、国会議事堂建設、保健および教育促進事業などがある。アフガニスタン治安部隊の能力を構築するためにインドが果たした貢献も大きかった。

アフガン・パラドックス:カブール陥落後の 中国、インド、そしてユーラシアの未来

ジョージ・へイン  |  2021年09月27日

近頃カブールの外交関係者の間でささやかれている一つのジョークがある。カブールにおけるガニ政権からタリバン政権への権力移行は、今年のより早い時期にワシントンで行われた政権移行より円滑だったというものだ。それは(いささか)言い過ぎかもしれないが、タリバンがアフガニスタンの首都に入った迅速さに、事態を見守っていたほとんどの人が驚いたのは間違いないだろう。

ポスト・メルケル時代のドイツ政治

ハルバート・ウルフ  |  2021年09月24日

2021年9月26日、ドイツの連邦議会は4年の任期満了をもって総選挙を迎える。最大の変化は、新内閣が16年近く首相を務めたメルケル首相抜きで組織されることが確実なことである。多くの人が「メルケル主義を超えた」政治について憶測を巡らせるのも、不思議はない。現在の世論調査を見ると、非常にさまざまな連立の可能性があるためなおさらである。これらの世論調査によると、現在の連立「グロコ」(大連立)が続投する可能性もあるが、両党(キリスト教民主同盟と社会民主党)内のムードはお互いにうんざりといったところで、有権者の大多数は経済停滞に疲弊している。キャッチワードは、「kein weiter so(いいかげんにしてくれ)」である。

タリバンのいる未来に逆戻り?

アミン・サイカル  |  2021年09月20日

The defeat of the United States and its allies and return to power of the Taliban in Afghanistan have changed the regional landscape. The configuration of forces has shifted in favour of Pakistan as the Taliban’s patron and China as a strategic partner of Pakistan, confronting India, the Islamic Republic of Iran, the Central Asian Republics and the main power behind them, Russia, with certain policy quandaries. Yet not all is lost, as both Islamabad and Beijing may find that Afghanistan is a very difficult country to govern and sustain.

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。