現代平和研究と実践に関するグローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

現代平和研究と実践に関するグローバル・アウトルック

中国の地政学的な影響力はイランにまで及び、アフガニスタンも取り込む可能性がある

ラメッシュ・タクール  |  2021年04月20日

2021年4月11日にナタンツの主要な核施設が攻撃(イスラエルによる攻撃の可能性が非常に高い)を受けた後、イランのハッサン・ローハニ大統領は、ウラン濃縮度を60%に引き上げると述べた。技術的な点から見ると、これによりイランは、本格的な兵器級のウラン濃縮度(90%)にもすぐ手が届く状態になる。

ミャンマーの民主主義の支援には条件がある

ラメッシュ・タクール  |  2021年04月15日

ミャンマーは、クーデターと長期にわたる軍政の歴史を持つ。今回の抗議運動の厚み、規模、持続性は、文民政権の復活が不可能ではないことを意味している。一方で、これまでの軍部の残虐性の遺産は、無期限の軍事政権もあり得ることを意味している。

ミャンマー、「保護する責任」の履行を世界に訴える

ラメッシュ・タクール  |  2021年04月07日

私は、この記事を書くことを予想せず、意図せず、希望もしなかった。ミャンマーにおける現在の危機と増え続ける市民の死者数に関連づけて「保護する責任(R2P)」について書くようにとの要請を、私は丁重に断ってきた。ターニングポイントとなったのは、R2Pを掲げる横断幕、Tシャツ、傘を携え、この記事に掲載された写真のように徹夜のキャンドルデモを行う人々の姿である。それらの映像は私の良心を動かした。また、世界の良心を揺さぶるべきである。

ミャンマーにおける残虐なクーデターと「保護する責任」

サイモン・アダムス  |  2021年03月30日

2021年3月5日(金)、国連安全保障理事会がニューヨークの厳粛な会議場で会合を開いている間、ミャンマー各地の人々が同国における血塗られた軍政復活に抗議するため、夜を徹して平和的デモを行っていた。厳しい夜間外出禁止令にもかかわらず、ヤンゴンとマンダレーの通りにはデモ参加者たちが集まり、キャンドルの明かりで “We Need R2P”(われわれはR2Pが必要だ) “R2P – Save Myanmar”(R2P―ミャンマーを救え)という文字を浮かび上がらせた。

ウイルスは爆撃できない! 共通利益のための新たな安全保障への期待

デニス・ガルシア  |  2021年03月03日

各国は、国民を守るために現実に必要な投資を犠牲にして、高価な兵器システムを備蓄するために大切な資金を費やしている。国家安全保障の胸算用は、巨額の兵器備蓄がすなわちパワーと地位であることを前提としている。しかし、21世紀の各国に実存の危機をもたらしている課題のどれを取っても、兵器によって取り組むことも、一国の単独行動によって解決することも、さらには軍事手段によって戦うこともできない。

分極化したアジア太平洋において、民主主義はクラブではなく目標であるべき

ダン・スレーター  |  2021年02月18日

分極化が米国を分断している。ドナルド・トランプ前米国大統領のもとで、分極化は米国の民主主義をほとんどズタズタに引き裂いた。しかし、米国の内部が分極化しただけではない。太平洋の分極化にも直面している。中国との関係は、トランプ政権の数年間の後、国交正常化以来最悪の状態に達している。その間、トランプと習近平中国国家主席は揃って、強力な国家指導者としての個人崇拝を広めようとしていた。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。