現代平和研究と実践に関するグローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

現代平和研究と実践に関するグローバル・アウトルック

戦略的ジレンマ:効果的な対中国戦略を探るドイツ

ハルバート・ウルフ  |  2022年11月24日

現在、ドイツでは中国との関係が再考されている。これは、EUでも起こった、より長い経緯の結果である。ロシアのガス、石炭および石油の供給にドイツが依存していたことのショックが、中国との関係を特にセンシティブなものにしている。ドイツは、ロシアの原材料と化石燃料への依存度が高いだけでなく、中国とも、経済的により緊密な相互関係がある。というのも、中国は、ドイツの輸出相手国第2位であり、輸入相手国としては第1位なのだ。この議論は、経済的依存度およびアジア内外における中国の強気な外交・安全保障政策の両方が理由で加速している。

イランの政治体制は綱渡りの限界に来たのか?

アミン・サイカル  |  2022年10月27日

イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイは、過去数週間にわたりイランを揺るがしている大規模な騒乱を扇動しているとして西側諸国を非難した。しかし、彼の訴えはもはや聞き流されている。当局の強硬な取り締まりにもかかわらず、デモ参加者の数は膨れ上がっている。イスラム政権は、1978~79年の革命でモハンマド・レザー・シャーによる西側寄りの独裁政権が倒れた後に誕生して以来、正当性が問われる最も深刻な危機に直面している。

アルカイダ、タリバン、そしてアフガニスタンの悲劇

アミン・サイカル  |  2022年09月10日

世界が今週末、9・11テロ事件の記念日を迎えるとき、他の二つの出来事も思い起こすべきだ。まず、ニューヨークとワシントンへのテロ攻撃の2日前である2001年9月9日、アフガニスタン軍司令官アフマド・シャー・マスードがアルカイダのエージェントによって暗殺された。マスードは、1980年代にはソ連軍と、次いで1990年代にはタリバン・アルカイダ連合と戦っていた。三つの暗い出来事の最後の一つは、1年前にアメリカおよび同盟国がアフガニスタンから撤退する中でタリバンが復権したことである。これらが合わさって、今日のアフガニスタンが陥っている混乱のもととなっている。

タリバンの悲惨なアフガニスタン統治が1年を迎える

アミン・サイカル  |  2022年08月19日

アフガニスタン統治から1年が経った今なお続く、タリバンによるイスラムの名における過激な残虐行為と、包摂的な政府と人権尊重を求める国連主導の国際的な要求の無視は著しい。タリバン政権は世界の承認を得ておらず、アフガンの人々はアフガニスタンの現代史において最悪の人道危機の只中にある。この国の将来の見通しがこれほど暗かったことはない。

西側が直面する専制政治と神権政治の新同盟

アミン・サイカル  |  2022年07月16日

世界の政治は、分極化の不穏な局面に達している。この状況の根底には、おもに米国が主導する民主主義国家と、ロシアと中国が主導する専制主義国家との間の闘争がある。しかし、ほかにも危険な側面がある。専制主義の大国とアフガニスタンのタリバンのような過激な神権主義勢力との密接な関係が浮上してきたことである。

荒波に架ける橋(Bridging Troubled Waters): 分断社会に結束をもたらす

チャイワット・サーシャ=アナンド  |  2022年07月01日

社会的緊張と紛争の時代に、結束を促す架け橋を築くことが極めて重要になっている。名曲『明日に架ける橋(Bridge Over Troubled Water)』が教えてくれるように、われわれが築いている橋の下に荒波があることを忘れてはならない。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。