現代平和研究と実践に関するグローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

現代平和研究と実践に関するグローバル・アウトルック

米国と同盟国がアフガニスタンに残したもの

アミン・サイカル  |  2022年02月09日

アフガニスタン戦争は、米国とその同盟国にとっては終了した。しかし、イスラムの名を借りたタリバンの過激主義的、抑圧的な支配の下で、アフガニスタンの人々の苦しみはいっそう大きくなっている。今日、アフガニスタンほど、人口の半分を飢餓で失う危機に瀕している国はない。この責任は誰にあるのか?

カザフスタン危機はプーチンに高くつく可能性

アミン・サイカル  |  2022年01月11日

石油資源と鉱物資源が豊富なカザフスタンで、燃料価格の高騰をきっかけに全国規模で発生している市民騒乱は、元をたどれば、1990年にこの国がソ連からの独立を宣言して以来の根深い統治問題と構造改革を求める社会の要求がある。この混乱は、カザフスタンの権威主義的な体制だけでなく、ロシアにとっても深刻な課題となっている。それは、ロシアが「近い外国」あるいは安全保障および利益圏と見なしている国の安定を揺るがす可能性をはらんでいる。

シアルコートのリンチ事件は南アジアにとって何を意味するのか?

チュラニー・アタナヤケ、チラユ・タッカル  |  2021年12月24日

2021年12月3日、南アジアのトップニュースはスリランカ人の工場長プリヤンタ・クマラの不幸なリンチ殺害事件一色となった。2010年から輸出管理者としてパキスタンで働いていたプリヤンタ・クマラは、宗教的な言葉が書かれたポスターを剥がしたために殴打され、殺害され、火をつけられた。暴徒は、クマラの行為を神への冒涜と見なしたのである。陰惨な事件は多くの人々の良心を揺さぶり、パキスタン国内では抗議の声が、スリランカでは正義を求める声が上がった。

EUは脇に追いやられたのか?

ハルバート・ウルフ  |  2021年10月10日

バイデン政権が数週間の間に一方的に下した外交・安全保障政策上の二つの決定に、欧州諸国は途方に暮れている。ドナルド・トランプが米大統領の座から退いて以来、欧米関係のトーンのみが変化し、「アメリカ・ファースト」政策の本質は変わっていないのだろうか?

平和紛争研究が重要であり続ける理由 第2部

オリバー・リッチモンド  |  2021年10月04日

さて、現在われわれが経験していると思われる体制移行の後、平和紛争研究(PCS)には次に何が起こるだろうか?  第1部で挙げた肯定的な側面にもかかわらず、また、過去には新たな戦争が迫りつつある時期に荒野の唯一の声であったにもかかわらず、PCSは、昨今起こりつつあるこの局面の多くを予見することができなかった(いくつかの優れた例外はあるが)。

平和紛争研究が重要であり続ける理由 第1部

オリバー・リッチモンド  |  2021年10月03日

地政学的にも環境的にも、そして認識論的な意味においても世界の地殻変動が起きている。紛争指標と関連データは、全領域にわたって赤く点滅している。おそろしく自己中心的で欧州中心的なジャーナリスティックな分析では、暴力は恒久的に減少したとされているが、そうではない。

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。