現代平和研究と実践に関するグローバル・アウトルック

「グローバル・アウトルック」では、専門家が難解な現代の課題について意見を発信しています。

現代平和研究と実践に関するグローバル・アウトルック

ウクライナにおけるロシア軍の1週間の死者数はアフガニスタン侵攻時のソ連軍を上回る

アミン・サイカル  |  2022年03月11日

ロシアは、ウクライナ侵攻の最初の6日間に死傷したロシア兵の数はごくわずかだと主張しているが、ウクライナは戦死者数が5,000人以上、負傷者はそれをはるかに超えると発表している。どちらの主張も立証することはできないが、たとえロシアの公式な数字に基づくとしても、1980年代の10年間にアフガニスタンで戦死したソ連兵の数に比べてはるかにハイペースである。これにより、ウラジーミル・プーチンが指揮するロシア軍の能力と有効性について、ソ連時代の前任者たちが指揮を執ったアフガン戦争時の軍隊と比較した場合、深刻な疑念が生じる。

偽旗作戦とフェイクニュースの出会い: ウクライナ侵攻はどうなるか

ラメッシュ・タクール  |  2022年02月19日

NATOの初代事務総長を務めたイスメイ卿は、NATOの使命を「ソ連を締め出し、米国を引き入れ、ドイツを抑え込むこと」と印象的に表現した。冷戦が終結しても解散するのではなく、NATOはその存在を正当化する新たな敵と使命を求めて軍事同盟となった。

米国と同盟国がアフガニスタンに残したもの

アミン・サイカル  |  2022年02月09日

アフガニスタン戦争は、米国とその同盟国にとっては終了した。しかし、イスラムの名を借りたタリバンの過激主義的、抑圧的な支配の下で、アフガニスタンの人々の苦しみはいっそう大きくなっている。今日、アフガニスタンほど、人口の半分を飢餓で失う危機に瀕している国はない。この責任は誰にあるのか?

カザフスタン危機はプーチンに高くつく可能性

アミン・サイカル  |  2022年01月11日

石油資源と鉱物資源が豊富なカザフスタンで、燃料価格の高騰をきっかけに全国規模で発生している市民騒乱は、元をたどれば、1990年にこの国がソ連からの独立を宣言して以来の根深い統治問題と構造改革を求める社会の要求がある。この混乱は、カザフスタンの権威主義的な体制だけでなく、ロシアにとっても深刻な課題となっている。それは、ロシアが「近い外国」あるいは安全保障および利益圏と見なしている国の安定を揺るがす可能性をはらんでいる。

シアルコートのリンチ事件は南アジアにとって何を意味するのか?

チュラニー・アタナヤケ、チラユ・タッカル  |  2021年12月24日

2021年12月3日、南アジアのトップニュースはスリランカ人の工場長プリヤンタ・クマラの不幸なリンチ殺害事件一色となった。2010年から輸出管理者としてパキスタンで働いていたプリヤンタ・クマラは、宗教的な言葉が書かれたポスターを剥がしたために殴打され、殺害され、火をつけられた。暴徒は、クマラの行為を神への冒涜と見なしたのである。陰惨な事件は多くの人々の良心を揺さぶり、パキスタン国内では抗議の声が、スリランカでは正義を求める声が上がった。

EUは脇に追いやられたのか?

ハルバート・ウルフ  |  2021年10月10日

バイデン政権が数週間の間に一方的に下した外交・安全保障政策上の二つの決定に、欧州諸国は途方に暮れている。ドナルド・トランプが米大統領の座から退いて以来、欧米関係のトーンのみが変化し、「アメリカ・ファースト」政策の本質は変わっていないのだろうか?

「グローバル・アウトルック」に掲載された論説は著者の視点や意見にもとづき執筆されており、戸田記念国際平和研究所としての方針や立場を必ずしも反映しているわけではありません。