政策提言

気候変動と紛争に関する政策提言

Climate Change and Conflict

「我々あり、ゆえに我々生きる」という太平洋地域のエコリレーショナルな精神性と気候変動のストーリーの転換

Policy Brief  No.56 - October, 2019

太平洋地域の住民は数世紀にわたり、気候をめぐる危機を精神的・文化的世界の中で乗り越えて生き残り、対応し、今もそれを続けている。国際社会の大部分が科学から情報を得て気候問題と取り組む各自の役目を務める一方、地域社会の多くでは、文化的・精神的な信念と慣習が不可欠な役割を果たすことも認識されている。本稿では、太平洋地域に住む多くの人々が、何世紀もの間、気候に対応するための指針としてきた「エコリレーショナルな精神性(eco-relational spirituality)」(自然との関係性に基づく精神性)の「我々あり、ゆえに我々生きる(we are, therefore we live)」という中心概念を取り上げる。

Climate Change and Conflict

気候変動により移住を余儀なくされる人々の土地と安心をいかに確保するか

Policy Brief  No.37 - April, 2019

キリバス共和国出身のタビタ・アウェリカ(21歳)は、気候変動に関する環礁諸国連合(CAN-CC: Coalition of Atoll Nations on Climate Change)が開催した会議(2019年12月)で世界の首脳に対し、気候学者の意見に耳を傾け南太平洋地域に暮らす人々の嘆願を聞き入れて欲しいと訴えた。「私は祖先から受け継いだ土地を離れるつもりはない。私の母なる土地を諦めない。私が故郷と呼ぶ唯一の土地を離れはしない」。彼女はそう語った。

Climate Change and Conflict

気候変動とソロモン諸島の地域社会における紛争と平和構築

Policy Brief  No.36 - March, 2019

気候変動がソロモン諸島の地域社会や紛争にもたらす影響について有意義に関与するには、その地域の世界観、すなわちソロモン諸島に暮らす人々の物質的、経済的、政治的、社会的、精神的な世界に深く根差した方法で取り組む必要がある。先般、戸田記念国際平和研究所に寄稿した政策提言で述べたように、気候変動が引き金となって深刻化もしくは発生した紛争を解決するためには、何をもって平和と正義とするかについての地域社会の認識を踏まえた方法で取り組まなければならない。

Climate Change and Conflict

地域社会の意見を取り入れて気候変動が誘発する再定住計画を改善

Policy Brief  No.33 - February, 2019

グローバル・サウスでは、気候変動が誘発する再定住に対し、国家機関、地元の慣習的意思決定機関、市民社会の団体というすべてのステークホルダーが関与するホリスティックで一本化したアプローチが必要とされ、特に、地元の伝統的なアクター(取組主体)およびネットワークとの敬意に満ちた関わり合いが必要である。戸田記念国際平和研究所の政策提言で、筆者らは太平洋のカータレット諸島からの気候変動に誘発された再定住について研究した。この事例は他の場所での将来的な移住の取り組みとも関係する幅広い問題を含む。この種の再定住の実現を希望する場合、これらの教訓が役立つと思われる。

Climate Change and Conflict

気候変動がもたらすグローバル安全保障上の課題

Policy Brief  No.18 - August, 2018

近年、干ばつ、熱波や山火事、欧州難民危機、アラブの春の暴動といった“極端”な事象を気候変動に結び付ける動きがある。気象事象は、人々の健康、生活、食料安全保障など、人間の安全保障のさまざまな重要な面に直接的な影響を及ぼし得る。しかし、気候変動は平和や社会の安定を直接脅かす脅威ともなっているだろうか。本稿は、より包括的な気候安全保障の議論に関する三つの側面について論述するもので、武力紛争が気候変動に対する脆弱性にどう影響するかという逆の因果関係についても簡単に考察する。