政策提言

現代平和研究と実践に関する政策提言

Contemporary Peace Research and Practice

エスカレーション、デ・エスカレーション、そして―最終的には―戦争終結か?

Policy Brief  No.128 - April, 2022

ロシアのウクライナ侵攻は、欧州の外交・安全保障政策にとって“ゲームチェンジャー”であり、冷戦を彷彿させる大規模な軍備増強と相互の脅威をもたらした。大国が再び地球を勢力圏に分割しようとしている現在、本提言は、今日の状況が冷戦時代とどう異なるかを考察し、ヘルシンキIIのプロセスが紛争終結に不可欠であると主張する。

「なぜ私たちが違法なのでしょうか?」 民主国家インドにおける市民権問題解消の手段としての異議表明

Policy Brief  No.102 - February, 2021

2019~20年にインドで発生した抗議運動は、世界のどこであれ自由民主主義の理論と実践の歴史において特異なものである。本政策提言では、法律と正当性の区別という観点から政治的服従の根拠について検討し、2014~19年に見られたヒンドゥー至上主義の主張について概略を説明したうえで、2019年と2020年に起きた重大事件を考察する。

Contemporary Peace Research and Practice

国家安全保障体制の再点検: 台湾、韓国、日本のCOVID-19対応比較

Policy Brief  No.81 - June, 2020

COVID-19は、国家安全保障に対する非伝統的脅威を象徴している。COVID-19の大流行は、経済の停滞、資産の喪失、人々の移動の自由に対する制限等をもたらした。注目すべき点は、ウイルスにとって国境は無意味であるにもかかわらず、各国がそれぞれ個別にコロナ禍への取り組みを行っていることである。そのため、コロナ禍への対策には、国によって違いが見られる。

Cooperative Security, Arms Control and Disarmament Contemporary Peace Research and Practice

核兵器が爆発したら、集中治療病床が何床必要か?

Policy Brief  No.75 - May, 2020

2019年の暮れ、中国・武漢で新型コロナウイルスが出現した。中国の封じ込め努力もむなしく、やがてウイルスは世界中に広がった。各国は、最悪のシナリオが現実になれば、医療崩壊が起こる恐れがあることに気付いた。

Contemporary Peace Research and Practice

コロナ禍に立ち向かう:危険と機会

Director's Statement  No.71 - April, 2020

新型コロナウイルスは今や地球全体に蔓延し、数十億の人々と多くの国々が「封鎖」と「自主隔離」に追い込まれている。だれもが身体的、社会的距離を取ること(ソーシャル・ディスタンシング)を実践している。ウイルスはあらゆるところで医療制度を圧迫し、多くの国が不意打ちを受け、ウイルスがもたらす過酷な運命と対峙する準備が未だ整ってはいない。国家経済も統合化が進んだ世界経済も急激に悪化している。政治体制、社会の回復力、政権の施策に対する恭順のすべてがコロナ禍による試練を受けている。2020年は人類史における変革の瞬間になろうとしている。この難題との取り組みが最終的にもたらすのは、革新的かつ根本的な制度変革もしくは現状の再肯定のいずれかであるが、後者はすでに、このパンデミックおよび増大する経済・政治・社会・環境的機能不全への対応能力の欠如を証明してしまっている。