過去のニュース・お知らせ - 2024
2024年ノーベル平和賞への賞賛
2024年10月14日 - News
2024年ノーベル平和賞に関する所長声明 ケビン・P・クレメンツ 戸田記念国際平和研究所は、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)の2024年ノーベル平和賞受賞をお祝い申し上げます。日本被団協は、広島と長崎の原爆被爆者の団体です。被爆者の方々は、長年にわたり自らの悲惨な体験と苦しみを通して核兵器のない世界を主張し、核兵器の製造、拡散、また使用の全面的な禁止を強く訴えてこられました。 この賞の発表は、およそ21万人もの命を奪った広島と長崎への原爆投下から明年で80年という節目に行われました。 戸田平和研究所は日本にある平和研究センターとして、日本の団体に対して送られたこの賞を歓迎するとともに、核戦争に勝者はなく、決して戦われてはならないという、私たちの共通の目標のために、日本被団協および被爆者の皆さまとともに力を合わせていきたいと思います。 日本被団協は、1954年の太平洋ビキニ環礁水爆実験によって第五福竜丸の乗組員が被爆したことをきかっけとし、原水爆の禁止を目的に1956年に結成されました。 ノルウェー・ノーベル委員会がこの団体に本年の平和賞の授与を決定したことは、誠に正当で適切なことです。広島と長崎で被害にあった被爆者の方々のように、核兵器が市民に対して無差別に使われたことを経験し目撃した個人的な証言を語れる人の存在がどれほど貴重か。それゆえに、核兵器廃絶のために証言を語り続けてこられた方々が表彰されることは、その証言を永遠に継承するためにも大きな価値があるのです。 ロシアなど核兵器保有国がウクライナなどで核兵器を使用すると威嚇し、「核のタブー」を侵し始めています。戸田平和研究所は、日本被団協の皆さまをはじめ、すべての被爆者・被害者の方々と連帯し、核兵器の使用は国際法上違法であり、二度と使われてはならないと常に喚起しながら、核兵器のない世界をめざしてまいります。 Photo credit: shutterstock.com
平和シンポジウム:激動の時代における平和への課題
2024年10月10日 - News
対談 ヘレン・クラーク アオテアロア・ニュージーランド元首相 ケビン・P・クレメンツ 戸田記念国際平和研究所 所長 2024年10月4日 2024年10月4日、ニュージーランド議事堂のバンケット・ホールにおいて、「激動の時代における平和への課題」と題した重要な平和シンポジウムが開催されました。戸田記念国際平和研究所、ニュージーランドSGI他の著名な団体の共催で開かれたこのイベントでは、ヘレン・クラーク氏(ニュージーランド元首相)とケビン・P・クレメンツ教授(戸田記念国際平和研究所所長)による示唆に富む対談が行われました。このイベントは、世界が前例のない社会、経済、政治的な課題に直面し、ウクライナや中東からスーダンまで各地で紛争が勃発している中、これ以上ないほど重要な時期に開催されました。 対談では、最初にこの激動の時代における国連と多国間機構の役割について意見が交わされました。これらの機関はウクライナ、中東、台湾やその他の紛争地域において平和維持のための取り組みを行っています。ヘレン・クラーク氏とケビン・クレメンツ教授は、今日の国際機関の非効率性について深い懸念を共有しました。両氏は平和と安全保障体制を強化するために国連の抜本的な改革が必要だと強調する一方で、近ごろ行われた「未来サミット」で採択された「未来のための協定」のアクション・ポイントについて「漠然としすぎており、実施は非現実的」との意見が述べられました。 核心的な課題としての気候危機 両氏は気候変動の世界的な脅威について強調し、その影響は脆弱なコミュニティーに対してより強く現れることを指摘しました。気候変動が誘発する危機への対処は世代間の協力、とりわけ若者との協力が必要であり、人類が直面する最も差し迫った課題に対して効果的な解決策を見いだすために若者の関与は不可欠である、と両氏は主張しました。 両講演者が特に懸念を示したのは、ニュージーランドが米英豪3カ国の安全保障条約であるAUKUSに参加する可能性についてでした。両氏はニュージーランドの独立した外交政策を擁護し、特定の国々、特に中国を標的とする軍事的同盟に断固として反対しました。クラーク氏とクレメンツ氏は、「恐怖政治」の危険性を警告し、それが分極化を招き、建設的で平和的な未来ビジョンの追求を妨げると主張しました。 世界的な逆境に直面する中で、若者たちが希望を維持するにはどうすればよいかという質問に対し、クレメンツ教授は、故人となった戸田平和研究所の創設者、池田大作氏による力強いメッセージを世界の若者たちに捧げました。 「希望は悲観主義を楽観主義に変える。 希望は無敵である。希望はすべてを変える。 冬を夏に、闇を夜明けに、不毛を創造性に、 苦悩を歓喜に変える。 希望は太陽であり、光であり、情熱です。 希望は、人生が花開くための根源的な力なのです。」 クレメンツ教授は、誰もが希望の源となる潜在的な力を持っていることを強調し、良い変化をもたらす積極的な行動者となるよう参加者に呼びかけました。 このイベントの司会進行は、国会議員のイングリッド・リアリー氏(タイエリ選挙区)が務めました。対談の模様は、戸田平和研究所のYouTubeチャンネルでご覧いただけます。 Photo credit: SGI-NZ
公開政策対話:気候変動と安全保障――太平洋地域から学ぶ
2024年09月06日 - News
戸田記念国際平和研究所とハンブルグ大学平和・安全保障政策研究所が共催 公開政策対話:気候変動と安全保障――太平洋地域から学ぶ 日時:2024年9月17日 午後6時15分~7時45分(現地時間) (日本時間では9月18日午前1時15分~2時45分) 会場:ドイツ・ハンブルク大学 気候変動と安全保障という複雑に関わり合う課題への対応について、われわれは太平洋から何を学ぶことができるでしょうか?この公開政策対話では、太平洋地域と北欧の専門家が一堂に会し、気候変動がさまざまな地域の平和と安全保障にどのような影響を与えているのかについて議論します。太平洋島嶼国を脅かす海面上昇から、北極圏のコミュニティーが経験する環境暴力まで、気候変動が安全保障に与える影響への対応策を検討する上で、現地の視点と先住民の知恵が重要である点に着目します。 地域の不安定性は、欧米の考えや利益を中心とした広範な議論に覆い隠されてしまうことがあまりにも多いのです。例えば、欧米の視点では気候変動の地政学的な影響に焦点が当てられるかもしれませんが、太平洋諸島では海面上昇による土地の消失で、文化遺産が失われることを深く懸念しています。同様に、北極圏では環境の変化により伝統的な生活様式が崩壊しつつあり、地元住民は新たな安全保障上の懸念に直面しています。 こうした状況にも関わらず、太平洋諸島民や地域の先住民コミュニティーは、気候危機の単なる犠牲者ではありません。彼らは気候緩和イニシアチブや気候変動適応の革新的な取り組みを先導する開拓者でもあります。これはライジング・ネイションズ・イニシアチブ(Rising Nations Initiative)やデジタル・ツバルといった取り組みにも表れています。パネルディスカッションではこれらの最近の先駆的取り組みを紹介し、相互の学びと交流の場としていきます。 進行: ハンブルグ大学平和・安全保障政策研究所(IFSH)所長 ウルスラ・シュローダー教授(博士) パネリスト: フィリップ・マウパイ:ドイツ外務省 気候変動地政学・気候・安全保障担当 ウポル・ルマ・バアイ:太平洋神学大学学長、神学・倫理学教授(フィジー) ジャナニ・ビベカーナンダ:Adelphi (ベルリン)気候外交・安全保障プログラム長 セドリック・H・ド・コニング:ノルウェー国際問題研究所(NUPI)研究教授 アンナ・ナウパ:オーストラリア国立大学文化歴史言語学部バヌアツ人博士候補生 この公開政策対話は、戸田記念国際平和研究所とハンブルグ大学平和・安全保障政策研究所(IFSH)が共催するワークショップ「気候変動による損失、紛争と平和:実存的危機への関係性的対応」の一部として行われます。ワークショップについてはこちらをご覧ください。
ニュージーランドの移民政策は太平洋の気候移民を受け入れるために「作られて」いるか?
2024年09月04日 - News
気候変動の影響から逃れ、アオテアロアへの移住を望む太平洋諸島の人々は、現在、ビザ申請のために1,385ドルを支払い、健康診断に合格し、45歳未満で、仕事が内定していなければならない。 その上、抽選で当選するという幸運にも恵まれる必要がある。 国際NGOワールド・ビジョンのアドボカシー兼研究顧問のオリビア・イェーツ博士は、アオテアロアの現在の移民政策は、“気候関連の理由による移住”をする人々にとって適切ではない、と述べる。 ワールド・ビジョンでの研究を通して、イェーツ博士は、ニュージーランドは「権利に基づいた」気候移住のための公的なビザ取得経路が必要だと考えている。 ニュースの全文はこちら( RNZ International)から。 Image: hao hsiang chen/shutterstock.com
バヌアツ、国連の深海採掘に関する重要会議で海洋保護を訴える
2024年08月01日 - News
南太平洋の島嶼国家・バヌアツは、海底採掘に関する国際的な規制の策定を行う国連組織である国際海底機構(International Seabed Authority)(事務局:ジャマイカ・キングストン)が取り組む主要議題に海洋環境保護を据えるべきだと主張する国々の中で、主導的な役割を担っている。 今週開催される国際海底機構の総会では、採掘に設定される環境制約に大きな影響を与えると見られる次期事務局長の選出など、多数の議題が話し合われる予定。 ニュースの全文はこちら(RNZ International/Pacific)から。 Image: T Schneider/shutterstock.com'