2024年ノーベル平和賞への賞賛
2024年ノーベル平和賞に関する所長声明
ケビン・P・クレメンツ
戸田記念国際平和研究所は、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)の2024年ノーベル平和賞受賞をお祝い申し上げます。日本被団協は、広島と長崎の原爆被爆者の団体です。被爆者の方々は、長年にわたり自らの悲惨な体験と苦しみを通して核兵器のない世界を主張し、核兵器の製造、拡散、また使用の全面的な禁止を強く訴えてこられました。
この賞の発表は、およそ21万人もの命を奪った広島と長崎への原爆投下から明年で80年という節目に行われました。
戸田平和研究所は日本にある平和研究センターとして、日本の団体に対して送られたこの賞を歓迎するとともに、核戦争に勝者はなく、決して戦われてはならないという、私たちの共通の目標のために、日本被団協および被爆者の皆さまとともに力を合わせていきたいと思います。
日本被団協は、1954年の太平洋ビキニ環礁水爆実験によって第五福竜丸の乗組員が被爆したことをきかっけとし、原水爆の禁止を目的に1956年に結成されました。
ノルウェー・ノーベル委員会がこの団体に本年の平和賞の授与を決定したことは、誠に正当で適切なことです。広島と長崎で被害にあった被爆者の方々のように、核兵器が市民に対して無差別に使われたことを経験し目撃した個人的な証言を語れる人の存在がどれほど貴重か。それゆえに、核兵器廃絶のために証言を語り続けてこられた方々が表彰されることは、その証言を永遠に継承するためにも大きな価値があるのです。
ロシアなど核兵器保有国がウクライナなどで核兵器を使用すると威嚇し、「核のタブー」を侵し始めています。戸田平和研究所は、日本被団協の皆さまをはじめ、すべての被爆者・被害者の方々と連帯し、核兵器の使用は国際法上違法であり、二度と使われてはならないと常に喚起しながら、核兵器のない世界をめざしてまいります。
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