対談

ヘレン・クラーク アオテアロア・ニュージーランド元首相

ケビン・P・クレメンツ 戸田記念国際平和研究所 所長

2024年10月4日

 

 2024年10月4日、ニュージーランド議事堂のバンケット・ホールにおいて、「激動の時代における平和への課題」と題した重要な平和シンポジウムが開催されました。戸田記念国際平和研究所、ニュージーランドSGI他の著名な団体の共催で開かれたこのイベントでは、ヘレン・クラーク氏(ニュージーランド元首相)とケビン・P・クレメンツ教授(戸田記念国際平和研究所所長)による示唆に富む対談が行われました。このイベントは、世界が前例のない社会、経済、政治的な課題に直面し、ウクライナや中東からスーダンまで各地で紛争が勃発している中、これ以上ないほど重要な時期に開催されました。

 対談では、最初にこの激動の時代における国連と多国間機構の役割について意見が交わされました。これらの機関はウクライナ、中東、台湾やその他の紛争地域において平和維持のための取り組みを行っています。ヘレン・クラーク氏とケビン・クレメンツ教授は、今日の国際機関の非効率性について深い懸念を共有しました。両氏は平和と安全保障体制を強化するために国連の抜本的な改革が必要だと強調する一方で、近ごろ行われた「未来サミット」で採択された「未来のための協定」のアクション・ポイントについて「漠然としすぎており、実施は非現実的」との意見が述べられました。


 

 両氏は気候変動の世界的な脅威について強調し、その影響は脆弱なコミュニティーに対してより強く現れることを指摘しました。気候変動が誘発する危機への対処は世代間の協力、とりわけ若者との協力が必要であり、人類が直面する最も差し迫った課題に対して効果的な解決策を見いだすために若者の関与は不可欠である、と両氏は主張しました。

 両講演者が特に懸念を示したのは、ニュージーランドが米英豪3カ国の安全保障条約であるAUKUSに参加する可能性についてでした。両氏はニュージーランドの独立した外交政策を擁護し、特定の国々、特に中国を標的とする軍事的同盟に断固として反対しました。クラーク氏とクレメンツ氏は、「恐怖政治」の危険性を警告し、それが分極化を招き、建設的で平和的な未来ビジョンの追求を妨げると主張しました。

  世界的な逆境に直面する中で、若者たちが希望を維持するにはどうすればよいかという質問に対し、クレメンツ教授は、故人となった戸田平和研究所の創設者、池田大作氏による力強いメッセージを世界の若者たちに捧げました。

 

「希望は悲観主義を楽観主義に変える。

希望は無敵である。希望はすべてを変える。

冬を夏に、闇を夜明けに、不毛を創造性に、

苦悩を歓喜に変える。

希望は太陽であり、光であり、情熱です。

希望は、人生が花開くための根源的な力なのです。」

 

 クレメンツ教授は、誰もが希望の源となる潜在的な力を持っていることを強調し、良い変化をもたらす積極的な行動者となるよう参加者に呼びかけました。

 このイベントの司会進行は、国会議員のイングリッド・リアリー氏(タイエリ選挙区)が務めました。対談の模様は、戸田平和研究所のYouTubeチャンネルでご覧いただけます。

 

Photo credit: SGI-NZ