オンライン・シンポジウム:先端技術兵器の規制を考える
―安全保障と人権・人道の観点から―
2020年12月19日、戸田記念国際平和研究所と安全保障と先端技術プラットフォーム(PSET)は、オンライン・シンポジウム「先端技術兵器の規制を考える ―安全保障と⼈権・⼈道の観点から―」を共催しました。東京にある戸田平和研究所を配信会場に新たな試みとして行われたこのシンポジウムには、ZoomおよびYouTubeを通して100名を越える視聴者の参加がありました。この会議は日本語で行われました。
長崎大学の鈴木達治郎教授が司会進行を務め、⾼⾒澤將林前軍縮会議⽇本政府代表部⼤使が基調報告を行いました。ヒューマン・ライツ・ウォッチ⽇本代表の⼟井⾹苗氏および⼾⽥記念国際平和研究所の河合公明主任研究員が討論を行ったあと、広島大学の稲垣知宏教授がコメントを述べました。政府関係者、専門家、市民社会関係者、大学院生が視聴者として参加しました。
各スピーカーはそれぞれ異なる視点の見解を述べ、自律型致死兵器システム(LAWS)の問題を多角的に考察しました。高見澤大使は国際的なプロセスにおけるこれまでの議論を振り返り、LAWSの定義、致死性、有意な人間の関与、ルールの対象範囲、国際法や倫理との関係、信頼醸成措置に焦点を当てて、日本政府の取り組みについて説明しました。人権の専門家である土井氏は、ヒューマン・ライツ・ウォッチとハーバード大学法科大学院の国際人権クリニックが、2020年10月に共同で出版した報告書「新兵器、実証された前例:キラーロボットに関する条約の要素と参考モデル」で紹介されている禁止条約の主要要素に触れながら、なぜLAWSは禁止すべきなのかを論じました。
河合氏は、国際人道法では、武力紛争においてすでに発生した問題への対処に主眼が置かれているのに対し、軍事的技術の著しい革新により引き起こされる課題は、リスク社会においてこれから発生しうる問題に対処することであると述べました。科学者である稲垣教授は、科学技術の利用は民生利用と軍事利用の両面からリスクを考える必要があると述べるとともに、時にリスクは数値化が難しいためこの課題は複雑であるとコメントしました。
このシンポジウムは市民社会と政策立案者の間の対話を促進する目的で開催され、会議後には登壇者と参加者から有意義な取り組みであったとの感想が寄せられました。新型コロナウイルスへの対応を必要とする今日、オンラインでのシンポジウム開催は、この問題に関心を持つ多くの方々の参加を得る上で効果的な形式でした。
シンポジウム報告書は、後日発表の予定です。
シンポジウムの様子は、下記YouTubeで公開しています。
https://youtu.be/rWG2ybb6aH4(日本語のみ)