過去のイベント 今後のイベント

北東アジアの平和と安全保障

米中の安心供与に関するワークショップ

2025年02月11日 - 12日

東京

米中の安心供与に関するワークショップ

2025年2月11日~12日

 2025年初頭のドナルド・トランプ氏のホワイトハウス復帰は、国際政治、とりわけ米中関係に大きな戦略的不確実性をもたらしています。トランプ大統領の1期目(2017~2021年)以降、米中間の戦略的競争が激化している。バイデン大統領は「責任ある競争の管理」を約束したものの、戦略的競争の激化はバイデン政権下(2021~2025年)でも続きました。第2期トランプ政権下では、貿易戦争の再燃、技術規制の強化、さらには軍事衝突のリスクなど、緊張の高まりが広く予測されています。米中が核保有国であり、インド太平洋地域の中心的なプレーヤーであることを鑑みれば、両国の安定した関係は地域および世界の平和にとって不可欠であることは明らかです。もし両国間に軍事衝突が起きた場合、国際安全保障に広範な影響を及ぼす壊滅的な結果をもたらすでしょう。

 このような不安定な状況を背景に、戸田記念国際平和研究所は米中間の安心供与を検討する戸田研究クラスター(Toda Research Cluster)を発足させました。2025年2月11日~12日にはTRCメンバーの研究者と中国、米国、韓国などの北東アジアの専門家が一堂に会する国際ワークショップを開催し、安定強化と軍事衝突防止を目的とする現実的な解決策を協議しました。また米中間の安心供与についての意見交換と戦略立案を行いました。

 今後TRCの招集者は、本ワークショップの成果として報告書を作成します。戦略的競争が激化する中、高まる軍事衝突のリスクに対処し、長期間続いてはいるものの脆弱な「東アジアの平和」を持続させることの緊急性を強調する内容になる予定です。TRCは、安心供与の主要な理論的・経験的側面を探求し、米中間の紛争の可能性を低減する手立てを特定することを主な研究目標としています。

報告書では、以下の重要な点に焦点が当てられます。

    1. 「安心供与」とは何か

    2. 米中関係においてなぜ安心供与が必要なのか

    3. 国家はどのように安心供与戦略を実施するのか

    4. 米国と中国はどのように互いに安心を供与し合えるのか

    5. 日本や韓国など、この地域における主要なプレーヤーは、米中の安心供与を促進する上でどのような役割を果たし得るのか

 本報告書は、この二つの大国間の緊張を緩和し、安定した協力関係を促進するための実行可能な洞察を提供することを目的としています。対話を促進し、外交的な解決策を模索することで、TRCはインド太平洋地域およびそれ以外の地域の平和と安全に貢献することを目指しています。

 

Image: Kritsapong Jeantaratip/shutterstock.com