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現代平和研究と実践

パブリック・セミナー
「予測不能な世界における平和構築――トランプ2.0のグローバルな影響」

2025年02月07日

東京

 2025年2月7日、戸田記念国際平和研究所は「予測不能な世界における平和の構築:トランプ2.0のグローバルな影響」とのテーマで公開セミナーを開催しました。対面およびライブ配信のハイブリッド形式で行われ、会場では67名の方にご参加頂きました。セミナーでは、これまでの自由主義的な世界秩序とそれを支えてきたルールが米国のトランプ新政権(トランプ2.0)によって覆されようとしているとの見解が示されました。共有された懸念の多くは、セミナー開催の時期に前後して現実のものとなりました。

 例えば、トランプ大統領は就任直後、米国の「パリ協定」からの離脱を表明しました。米国国際開発庁(USAID)は廃止され、グローバル・サウスに深刻な人道危機をもたらしつつあります。ロシアのウクライナ侵攻に関しては、欧州が提出した、ロシアの行動を非難しウクライナの領土一体性を支持する国連決議案に対し、米国はロシア、北朝鮮、イスラエル他の国々と共に反対票を投じ、その後ロシアへの批判的な文言を使わずに紛争終結を求める決議案を提出しました。米国はまたウクライナのレアアース確保のため強制外交を展開する中で、ウクライナへの継続的な支援を保証せず、停戦後の安全を保障しないことを示唆しました。こうしたトランプ新政権の動きを見すえながら、本セミナーでは各上級研究員が国家間の信頼構築や安心供与、民主主義の危機と課題、グローバルな安全保障構造の再発見、ソーシャルメディアと社会的結束、気候変動の課題などを巡り活発な議論を展開。参加者との質疑応答も行われました。

 セミナーでは、ケビン・クレメンツ所長の基調講演に続き、上級研究員がプレゼンテーションを行いました。

 所長および上級研究員の発表タイトルは以下の通りです。

  • ケビン・クレメンツ:世界の現状を俯瞰する

  • スタイン・トネソン:不安定な世界にこそ安心供与の必要性

  • オリビア・ドライアー:分極化から支配へ――激変する世界で民主主義を守る戦い

  • キース・クラウス:平和への着実な一歩:グローバルな安全保障体制の再構築を

  • リサ・シャーク:民主主義を守るデジタル公共広場を設計

  • ジャナニ・ビベカーナンダ:気候変動下における平和の条件