
戸田記念国際平和研究所
第4回日韓ワークショップ
「日韓関係の未来を思考するラウンドテーブル」
2024年11月15日-16日
東京
戸田記念国際平和研究所は、2021年より世宗研究所と共同で、日本と韓国から国会議員、政策立案者、学者、ジャーナリストなどの主要なオピニオンリーダーを招いたプロジェクトを実施しています。この取り組みは、両国の対立の根本原因を理解することを目的に、双方向型の課題解決を促進するものです。このプログラムでは、より高いレベルの信頼や協力関係を構築するために必要なステップを探求しています。
2024年11月15日、16日に開催された第4回ワークショップは、両国が日韓国交正常化60周年を記念する準備を進める中、2国間の協力と信頼構築に関する議論をさらに深めることを目的として、戸田平和研究所が企画しました。このワークショップには、東京大学、慶応大学、東海大学、南山大学、ソウル大学、仁荷大学、光雲大学、ソウル市立大学から著名な日韓の専門家のほか、朝日新聞、日経新聞、ハンギョレ新聞のジャーナリストら14名の参加者を迎え行われました。
本年の日韓ワークショップは、特にドナルド・トランプ前米国大統領の復帰により、世界的に大きな不確実性が生じている中で行われました。同氏の「米国を再び偉大に」というスローガンのもと政策は国内外の不安定さを招き、北東アジアの地政学的緊張を悪化させることが予想されていました。
中国の台頭、北朝鮮の予測不可能な挑発行為、そして中国・台湾間の海峡における緊張の高まりなど、 地政学的な情勢の不安定化が進むなか、日韓間の歴史問題は両国の国益を損なうだけでなく、地域の安定と安全保障をも脅かすものです。強固な日韓関係はこれまで以上に重要性を増しているといえます。こうした状況を踏まえ、ワークショップは以下の内容で行われました。
ワークショップのテーマと議論
セッション1: トランプ2.0と日韓関係
変化する政治力学と多国間枠組みの重要性
日韓の対北朝鮮政策における相違
セッション2: 日韓関係における未解決の歴史問題の管理方法
戦時中の強制労働や慰安婦問題をめぐる論争を含めた歴史認識の解釈の違いと、被害者認知の必要性
これまでの2国間合意に基いて、歴史問題を「凍結」する可能性
セッション3:日韓基本条約締結60周年に向けた次のステップ
外交合意の脆弱性を振り返り、継続的な2国間協力のための制度的メカニズムを強化することを目的とした新たな宣言の必要性
「日韓パートナーシップ共同宣言バージョン2.0」は可能か?
結論
第4回の日韓ワークショップは、北東アジアの地政学的不確実性、特にトランプ大統領の再就任を背景に、2国間関係が直面する課題について共通の認識に立ったうえで、参加者は、安定した日韓関係がこの地域の平和と安全保障にとって不可欠であることについて意見の一致を見ました。歴史的問題が依然として論争の火種として残っているものの、それだけに持続的な対話、相互理解、そして未来志向の協力の重要性が改めて強調されました。