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国際ワークショップ:21世紀の平和研究課題

2019年12月06日 - 08日

東京(日本)

2020年代において平和研究所が今後行うべき研究課題とは何か。平和研究はその独自のアイデンティティーを現在でも維持できているのだろうか。平和研究所が保つ規範や価値とは何か。地球規模の課題に直面する中、平和研究所は実践に影響を与えることができるのだろうか――。2019年12月6~8日、戸田記念国際平和研究所は世界の主要な平和研究所から代表者22名を招き、これらの疑問を話し合う国際ワークショップを東京で開催しました。

ケビン・アブルチ(米国・ジョージメイソン大学紛争分析・解決研究所)、キース・クラウス(スイス・国際開発研究大学院)、ハーバート・ウルフ(ドイツ・ボン国際軍民転換センター)はこれらの課題の背景について論文を執筆し、ワークショップの主要テーマを次のように特定しました:

  • この分野に中心テーマはあるのか。あるとすれば何か。
  • 平和研究は政策決定者の側に近寄りすぎ、批判および規範という面で鋭さを失っていないだろうか。
  • 平和研究は、変革の理論と結びつき過ぎていないだろうか。この理論のもと、トップダウン型の政策決定者は、まとめられ、文脈とは切り離され、数値化された分析の結果のみを採用していると考えられる。
  • 平和研究分野は、「平和のための研究」とみなすべきか。それとも「平和に関する研究」とみなすべきか。後者であるとすれば、「積極的平和」という思想に込められた平和の概念には、現在でも説得力はあるのだろうか。
  • 平和研究者の間で平和とは何かについて共通の認識はあるのだろうか。
  • 研究者と平和構築の実務に携わる人々の間では、平和研究分野について同じ理解を共有できているのだろうか。共有できていないとすれば、研究と実践の間の隔たりをどのように埋めることができるだろうか。
Peace Research Workshop

会議では、現在の平和研究分野における主な課題を踏まえ、(1)気候変動、(2)ポピュリズム、ナショナリズム、独裁主義、ソーシャルメディアの脅威、(3)サイバー、AI、自律型兵器等の安全保障に関連する先端技術が新たな研究課題として特定され、これらの領域における平和研究所間の協力の可能性についても話し合われました。また、ジェンダーと暴力、軍備管理分野における新たな研究の方向性についても論議がなされました。最後に、研究と実践を統合していくための戦略を議論し、平和研究所のための行動規範の要点をまとめました。

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