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協調的安全保障、軍備管理と軍縮

核の戦略的安定性の向上:軍備管理に対する責任に基づいたアプローチ

2019年10月25日

ニューヨーク(アメリカ)

2019年10月25日、米国・ニューヨークにおいて、戸田記念国際平和研究所と国連ノルウェー政府代表部は「核の戦略的安定性の向上:軍備管理に対する責任に基づいたアプローチ」と題するイベントを開催しました。このイベントは、国連総会第一委員会の出席者に向けたサイド・イベントとして開かれ、外交官ら75名が参加しました。

基調講演を行ったジョン・ガウアー英国海軍少将(退役)は、各国が責任を伴う形で核兵器の保有を行うための国際的な枠組みについて紹介しました。この枠組みは、核の戦略的安定性の向上を目的としたものです。これは、核の危険のない世界への志(願い)を保ちながら、軍備管理の動きに勢いを与えることのできる現実的な取り組みです。ガウアー少将は、軍備管理と核軍縮に関する現在の状況を改善するための具体的なステップを見つけたいと思っており、核兵器をめぐり高まりつつある国際社会の緊張を、各国が互いに抑制および宣言を行うことにより早急に緩和する必要があるとしました。この枠組みおよび関連する行動規範は、誰もが核戦争を回避したいという関心を共有しているとの仮定に基づいており、それゆえに、そのような戦争のリスクを減らすための安定性の強化はその他の係争となっている分野と結びつけずに話し合うことができると考えるのです。この核の責任に関する行動規範は、核不拡散条約(NPT)やこれまでのNPT再検討会議の行動計画と相反することはありません。次に開かれるNPT会議は、この課題をさらに深く議論することに適した場となるでしょう。戸田平和研究所は、この提案が、実務的、漸進的、体系的および厳格なロジックの観点から、軍備管理と軍縮に関する議論への時宜を得た大きな貢献となるものと考えました。この会議では、ノルウェー国際問題研究所(NUPI)および戸田記念国際平和研究所の上級研究員スベレ・ルードガルドが進行役を務め、シャロン・スクワソーニ氏(米国・ジョージワシントン大学)とアドラン・マルゴエフ氏(ロシア・モスクワ国際関係大学)が論評を行いました。

ガウアー少将のアプローチは、核兵器に関する政策や核態勢の重要な要素と主な信条を融合させたものです。核保有国は、安定した核抑止を維持するために論理的な段階的方策に合意する必要があります。そのためのより安定したプラットフォームを提供できるのがこのアプローチです。この取り組みは、NPTの精神と包括的合意に向けた話し合いを再活発化させるための軍備管理や軍縮の新しい考え方の追求と一貫性を保ちながら行うことのできるものです。現在の核をめぐる危険な軌道は反転させなければなりません。そのために、安定性と進歩をけん引するこのような取り組みが早急に求められているのです。

 

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