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協調的安全保障、軍備管理と軍縮

21世紀における新たな軍備管理の探求:INF条約および大統領核イニシアチブ(PINs)からの教訓

2018年10月15日 - 2018年09月30日

オスロ(ノルウェー)

2018年10月、ノルウェーのオスロにおいて、戸田記念国際平和研究所、ノルウェー国際問題研究所(NUPI)、英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)、クリンゲンタール国際関係研究所、戦略的リスク評議会(CSR)は、「21世紀における新たな軍備管理の探求:INF条約および大統領核イニシアチブ(PINs)からの教訓」と題するトラック1.5(官民対話)形式の研究会議を共催しました。軍備管理の分野で中心的な役割を担う米国、欧州、ロシアの政府関係者、専門家、政策顧問が集って開催されたこの会議での結論は、現在の国際社会における軍備管理体制は危機的状況にあるということでした。

トランプ米国大統領は、1987年に締結された中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱を表明しました。ロシアが協定に違反したとする自国の評価にもとづいたこの表明は、軍備管理の環境に有害な影響を与え、新戦略兵器削減条約(新START)の延長合意を困難にさせるでしょう。20世紀に合意された二国間の軍備管理体制はほとんど崩壊している上に、核保有国には2020年の核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議までに同条約第6条の軍縮義務を果たす兆候はみられません。このことは、この条約の将来をも危うくします。このような軍備管理の崩壊は、米国とロシアで進められている核兵器近代化計画への障壁をなくし、世界での更なる核拡散を刺激することになります。

今回の会議ではこうした状況にいかに対処するかについて幅広い提案がなされ、21世紀の国際情勢に応じた新たな軍備管理のアプローチが必要であるとの結論に至りました。このアプローチには、戦略的安定性に関する新たな考え方を必要とします。つまり、現在の国際社会で展開する核兵器の多極的秩序とともに、通常兵器と核兵器の区別を曖昧にするような新しい技術開発についても考慮したものでなければなりません。これまでの軍備管理は対象範囲と目的によって分類された兵器の数量と運搬方法に制限を設けることで成り立っていました。しかし、今日においては戦略的安定性には新しい枠組みが必要です。その枠組みには、国際社会全体による核巡航ミサイルの排除、戦略的核兵器の更なる削減、様々な形の信頼醸成やリスク軽減措置への合意を必要とします。

1987年、レーガン大統領とゴルバチョフ大統領は「核戦争に勝者はなく、決して戦われてはならない」と宣言しました。この宣言を現在の米国およびロシアの大統領は再確認し、その他の核兵器保有国とその同盟国の指導者もこの宣言に続くべきでしょう。核保有国は、核兵器の使用をめぐる危機のエスカレーションを避けるために、地政学的環境の変化に適合した、新たな危機管理および危機削減メカニズム構築の必要性に迫られているのです。

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