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戸田平和研究所は、「非暴力による持続可能で平和な世界へ」という使命に向かって前進するため、次の4つの目標を掲げています。

1. 国家および人間の安全保障の向上と安定的な平和の保証のための、協調的安全保障原則に基づく地域的・国際的制度、メカニズム、プログラムの促進と発展

地球的、経済的、政治的、安全保障の脅威(政治的過激主義、貧困、サイバースペースにおける危険性、大量および少量破壊兵器、地球環境の悪化、軍拡競争、世界的規模の流行病、人道的危機、不平等に起因する暴力、戦争など)は、全て相互に関連している。それらは国民国家のレベルでは十分に対処できない。したがって、そのような国家的・地域的・地球的諸問題に対して、地域的・国際的な対応を効果的に進めていくための指針として、協調的ならびに共通の安全保障原則を再び適用していくことが極めて重要である。戸田平和研究所は、協調的ならびに共通の安全保障の概念が、現代における安全保障のジレンマに対して、有用で集団的な問題解決を提供できるかどうかを確認するために、上述した21世紀型の脅威に対するこれら諸原則の適用可能性について研究を進め、アジア、ヨーロッパ、アメリカの防衛・安全保障の専門家と共に会議を開催していく。さらに、大量破壊兵器の管理とその廃棄、軍備管理と軍縮、非攻撃的防衛政策に関する重要な専門家や関連機関とも引き続き協力して取り組んでいきたい。またその一方で、協調的安全保障を推進するために、国連改革や地域的な平和と安全保障メカニズムの発展を支援していく。人間の安全保障の成果は、この問題の進展具合を測るリトマス試験となるであろう。これらの研究目標は、アジア太平洋地域における紛争前後の平和構築プロセスの強化を目的とした、研究および地域的なワークショップによって進められるものであり、そのような活動は、暴力と戦争のいくつかの根本原因を取り除く上で、重要な予防的要素となる。

2. 気候変動、社会・経済的脆弱性ならびに紛争の悪影響からの人々の保護を目的とした、持続可能で公平な開発と併存する環境安全保障の理解と推進

アメリカや世界各地で権力の座に就いた地球温暖化懐疑論者の数が増大するのに伴って、気候変動に関する取り組みは、減速や後退の可能性が高まっている。このままでは、既に疲弊し脆弱な生態系に極めて深刻な影響を与えることになり、人々の生命や健康、友好関係に対する大変な困難を地球規模でもたらすことになる。戸田平和研究所はその資源を生かして多くの専門家と協力し、気候変動、貧困、政治的不安定性、社会政治的緊張と紛争との間の関係性を探究していきたい。特に、アジア太平洋地域で気候変動の影響を受けている個人や地域社会とともに、彼らが平和への諸条件を改善し、暴力的紛争の危険性を削減できる方法で、環境問題に適応していけるように協力していく。このプログラムは、まずこれらの問題に関する既存の一次および二次研究を総合した後、国家的・地域的・国際的な政策決定者と知見を共有するために、市民社会や研究者と協力して、気候変動に関する政策やプログラムが、革新的で、紛争にも配慮し、かつ平和的変革を支えていくものとなることを目指す。

3. 北東アジアにおける安定平和の構築

過去数年間にわたり戸田平和研究所は、中国・日本・韓国・北朝鮮を含む北東アジアの安定した平和を妨げている障害を特定することを目指し、一連のトラック1.5の問題解決ワークショップを開催。このワークショップは、日中韓3カ国間の調和のとれた平和的関係を壊しかねない国家のアイデンティティーや痛みを伴う歴史問題を扱うことも目的としてきた。近年では、日本の平和憲法の修正是非の分析、北東アジアにおける軍備拡張競争によるマイナスの影響、直近では、北朝鮮・韓国・米国間の緊張や紛争という脅威に対して、紛争予防、予防外交、交渉による解決を確実にする方法等に焦点を当ててきた。また、2国間および3国間の紛争を平和的に解決するため、北東アジアの安全保障メカニズムの構築についても重視している。

4. アジアおよび世界における直接的・間接的暴力への対処・予防・転換のための理論と実践の探求と展開

現代世界は、先祖返り的なナショナリズムの増長、民主主義ならびに法の支配への挑戦、保護主義の拡大と協調的安全保障に対する国家安全保障の再興に直面している。このような世界情勢において戸田平和研究所は、 多様性、協調、人間の安全保障、世界市民的国際主義(cosmopolitan internationalism)を目指して、政策提言を含めた研究プログラムを推進する。また、人権侵害に抵抗する非暴力的な社会的政治的運動の指導者と、紛争管理・解決・転換に取り組む運動家や実践家との間で対話の機会を設ける。非暴力と紛争転換の双方の分野の研究者および実践家と協力することによって、共通性と相違点を認識し、それぞれ異なる影響と効果を評価し、平和で公平な世界秩序を創出するための諸条件に、それぞれの関心を結びつける方法を探究する。このプログラムは、他の地域における比較可能な事例にも注意を向けながら、特にアジア太平洋地域での市民社会の能力開発への取り組みに焦点を当てる。このプログラムはまた、地域的およびグローバルな研究や訓練プログラムを含むものとする。このプログラムの重要な目的は、世界中で起きている権威主義的傾向と暴力的過激主義に対して、民主的なプロジェクトを守ることである。